肩こり・腰痛・首こりを解消する方法 簡単なコツで猫背を治す

肩こりや腰痛、首こり、そしてそれらの原因となる猫背。これら痛みや歪みで悩む人は多く、一生無縁でいられる人はあまりいません。

しかし、それだけ私たちにとって身近な悩みであるにも関わらず、私たちは体を痛めないための知識を学校であまり教わりません。肩こりや腰痛、首こり、猫背は、姿勢や体の使い方をちょっと意識するだけでかなりの部分予防したり治すことができます。

今回はそんな方法の中でも、特に自分で今すぐ簡単にできる方法についてまとめてみたいと思います。

 

肺と横隔膜をイメージして深い呼吸を実現する

呼吸が浅いと呼吸の回数が増えて交感神経が刺激され、不安やイライラが募ります。それだけでなく、全身の筋肉が酸欠状態になり、本来のパフォーマンスを発揮できず、体を正しい姿勢に支えることができなくなります。浅い呼吸を深い呼吸に改善することは、肩こりや腰痛、首こりを解消するだけでなく、体全体の健康を向上することに繋がります。

浅い呼吸を深い呼吸に改善するためには、肺と横隔膜を正確にイメージすることが重要です。これはとても簡単です。

肺のイメージ

肺は酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する器官です。ちょっと今、その肺の姿を頭の中でイメージしてみてください。

次に以下の動画を見てください。

 

これが肺です。肋骨周りから背骨まで、大きく広がっています。「思ったより大きいな」と感じた方もいるのではないでしょうか。試しに「この大きな肺一杯に酸素を送り込むぞ」というイメージで呼吸してみてください。それだけで今までより呼吸が深くなることがあります。

横隔膜のイメージ

次に、呼吸をしているときの横隔膜の動きをイメージしてみてください。

そしてこの動画を見てください。

 

これが横隔膜の動きです。息を吸い込むときに横隔膜が下に動き、内臓を押し出しています。腹式呼吸でお腹が膨らむのはこうして横隔膜が内臓を下に押し出すからであって、決して「お腹に空気を入れているから」ではありません。空気が入るのはお腹ではなく肺です。

というわけで、今度は息を吸うときに横隔膜を下にグーッと大きく押し下げるイメージで呼吸をしてみてください。先ほどの大きな肺一杯に酸素を送り込むイメージと同時に行えば、さらに呼吸が深くなることが実感できるのではないでしょうか。 

このように、肺と横隔膜を正しくイメージしながら呼吸をすると、深い呼吸がしやすくなります。

顎を引く

イスに座ってパソコンの画面と向き合っていると、つい顎が上がり、頭が前に出てしまいがちです。この「頭が前に出る」という姿勢は、猫背を作り、肩こり・腰痛・首こりを悪化させる元凶です。

頭が真上から上半身に乗っているときは、上半身の骨が下からまっすぐ支えてくれるので、首や肩、腰への負荷を小さくできます。

しかし頭が前に出ると、頭の位置が体のど真ん中を通っている縦の線からズレてしまうため、首や肩、背中、腰の筋肉を使って頭をグッと釣り上げる形になります。

魚を釣り上げるとき、釣竿は負荷がかかってたわみますよね。あんな感じに、頭という重い物体を釣り上げるために、首から腰にかけて余計な負荷をかけてしまうのです。

もしそれが1日何時間も続いたら・・・?そんな生活を何年、何十年と続けていたら・・・。それで肩こりや腰痛、首こりを起こさない方がおかしいですね。

そうならないために重要なことは、顎(あご)を引くクセをつけることです。顎を引けば頭の位置が後ろに下がり、上半身の骨で頭を支えることができます。顎を引いて頭だけ前に突き出すのはとても不自然で難しいはずです。

試しに、顎をしっかり引いた状態から顎をわざと出して頭を前に突き出してみてください。首、肩、背中、腰の筋肉に張りを感じるはずです。それを続けていたら、体はいつまでも休まりません。顎を引いて、できるだけ体に楽をさせてあげましょう。

口呼吸を治し、鼻呼吸にする

口呼吸をしていると、首や肩の筋肉を使って呼吸するようになるので、慢性的な肩こりの原因になります。他にも、口の中が乾燥しやすくなるので口臭の原因になるし、舌が沈み込んでいびきが出やすくなるし、とにかく口呼吸にはいいことがありません。鼻呼吸よりも1度に吸える酸素量が少ないので呼吸の回数が増加し、交感神経が活性化し、不安やイライラの感情が増長されるという点も厄介です。現在口呼吸をしている方は、早く鼻呼吸に修正する必要があります。

鼻呼吸をするためには、まず舌の位置を正すことが重要です。舌を上アゴの前歯手前らへんにつけておくのが正しい位置で、これだと自然に口が閉まりやすくなり、口呼吸がしやすくなります。時々舌の位置を確認し、ずれていたら修正し、いつも正しい位置にあるように習慣づけましょう。

また、筋肉が落ちてどうしても舌の位置が下の方に落ちてしまう場合は、舌の体操をして筋肉を鍛えてやると効果的です。みらいクリニックの今井一彰院長は、口呼吸の改善にあいうべ体操を推奨しています。あいうべ体操のやり方はこちら

 

尻を締めて立つ

尻の筋肉である大殿筋を使って尻をグッと締めるようにすると、骨盤が固定されて猫背を防ぎやすくなります。試しに尻を締めずに体を前に倒した場合と、尻を締めて体を前に倒した場合を比較してみてください。締めていないときは腰がふにゃっと簡単に曲がりますが、締めているときは腰を曲げるのが難しいはずです。

普段から尻を締めて立つようにしていると、やがて大殿筋が発達し、尻を締めて立つのが普通になり、猫背が改善されてきます。

腰への負担を減らし、骨盤を立たせる座り方を

イスに座るとき、足をある程度開いて座ると安定して座れるようになります。足を開くと足の地面へのふんばりが効きやすくなり、その分腰への負担が減ります。また、腰がちゃんと入るので上体をまっすぐ支えやすくなるのです。

試しに顎を引いて足を開き、足裏が地面に密着した状態で座ってみてください。イメージ的にはこんな感じです。画像では「アーユルチェアー」という専門のイスを使っていますが、どんなイスでもできるので大丈夫です。次にその状態から、足を閉じてみてください。腰への負担が増し、腰が丸まって骨盤が後傾しやすくなるのが分かると思います。

また、骨盤をちょっと前傾させた状態で、尻をイスの座面と背もたれの間に差し込むように座ると、腰痛や猫背の予防になります。こんな感じです。こうすると背もたれが腰をしっかり支えてくれるので、腰を丸めたくても丸められなくなり、骨盤がしっかり立つようになります。

ストレッチを取り入れる 

上記のような生活の中での姿勢矯正にプラスして、ストレッチを加えるとさらに効果的です。

 

有名な「あべこべ体操」です。肩こり・首こりが楽になるということでとても人気があります。

 

腰痛用のストレッチです。これで腰が楽になる人もいます。

 

マッケンジー法という世界的に有名な体操です。一つ上の動画の中にも似ているのが出てきますね。

ただ、ストレッチを行っても、日ごろの姿勢が悪いと痛みも歪みもまた元に戻ってしまいます。根本的に治すためには、ストレッチと合わせて日ごろの姿勢を矯正することが不可欠です。

こういうときは専門家の受診を

東京慈恵会医科大学附属病院の谷諭(たにさとし)医師は著書「85%の肩こり・腰痛は自分で治せます」の中で、「肩こり・首痛・腰痛の15%は専門家に診てもらうべき」と話しています。凝りや痛みの中には病気が原因のものもあり、その場合は病院にいかないと治りません。

谷医師は、「病院に行く必要があるのかないのか、その判断の仕方を箇条書きにするとこのようになる」としています。

大丈夫そうな症状

・いつも痛みやしびれがあるわけではない。
・朝は痛みや凝りがあるが、しばらくすると和らぐ。
・動いていると痛みが和らぐ。
・何回も繰り返しているような肩こり・首痛・腰痛である。

専門医の受診を考えた方がいい症状

【肩こり・首痛】
・いつまでたっても首が痛い、症状が時間とともに悪くなる。
・肩の後ろの肩甲骨の内側に痛みや凝りがある。
・肩の周りから腕の方へしびれや痛みが走る。
・指先がしびれる。
・腕が上がりにくい。
・指先の細かい動きが鈍くなる。

【腰痛】
・いつまでたっても腰が痛い、症状が時間とともに悪くなる。
・骨盤、お尻のあたりが痛い。
・太ももの後ろあたりにしびれや痛みが走る。
・ふくらはぎにしびれや痛みが走る。
・歩いていると、足がしびれたり、力が入らず歩きにくくなったりする。
・足先を上げられなかったり、つま先立ちができなくなったりする。

もし思い当たる症状がある方は、整形外科や脳神経外科、内科などで一度診てもらったほうが無難です。