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搾取されない生命保険の選び方 必要な生命保険だけに絞るには

生命保険

 生命保険は本来、自分や家族の危機を救うためのものです。同時に、あれもこれもと選んでいるとあっという間に月々の保険料が膨らみ、それが逆に家族を危険に晒すという、諸刃の剣でもあります。生命保険を利用するなら、選び方を知り、必要なものだけに絞ることが重要です。

 しかし残念ながらネット上の記事を見ていると、不必要にこちらの不安を掻き立てたり、「AとBとC、どの生命保険がいいか?」などと最初から加入するのが前提になっていたりと、「業界の人が書いたのかな?」と思いたくなるようなものも少なくありません。

 この記事では、独立系ファイナンシャルプランナー(保険会社と利害関係の無い人)などの意見も参考にしつつ、できるだけ無駄のない生命保険の選び方を、消費者視点でまとめてみたいと思います。

 

生命保険の選び方5つの要点

 いきなり細かい話を始める前に、まず生命保険の選び方の要点をざっと確認したいと思います。

1. 社会保険・福利厚生・団体保険の内容を確認する

 社会保険とは年金や健康保険などのことです。日本国民は何かしらの社会保険へ加入することが義務とされているので、私たちはこれらの保険料を必ず支払わないといけません。だったら、まずこの社会保険を最大限利用すべきです。

 老後に年金が受け取れることや、医療費が3割負担になることを知らない人はいないと思いますが、他にも一家の働き手が死亡したときにもらえる『遺族年金』、働き手がケガや病気で働けなくなった時の『傷病手当金』、高い医療費がかかったときの『高額療養費制度』などがあります。社会保険は意外と守備範囲が広いのです。

 福利厚生や団体保険は、主に会社勤めの人が受ける保障です。内容は会社によって千差万別なので、会社の規約か問い合わせで確認しておく必要があります。

 これらで足りない部分を補うように生命保険を選びます。つまり、自分が入っている社会保険や福利厚生、団体保険などの内容が分からないと、生命保険も選びようがありません

 社会保険の詳しい内容については、後ほど述べたいと思います。

2. 貯蓄だけで乗り切れないリスクを優先的に考える

 最初にも述べたように、生命保険は上手に選べば家族のリスクを小さくしますが、入り過ぎると逆に膨らんだ保険料が家族のリスクを大きくします。貯蓄は基本的にいつでも使える(流動性が優れている)ので、不測の事態に対応するには最も重要な資産です。保険料はその貯蓄を減らします。それはつまり、不測の事態に対応する力を奪うということです。

 では、どう選べば両方のリスクを小さく抑えられるのか?FPなどの間で多い意見は、「貯蓄だけでは乗り切れないリスクを最優先に考える」ことです。

 例えば、大抵の家族にとって最大の危機は、働き手が亡くなった時だと思います。もし社会保険や福利厚生で死亡保障が足りない場合は、その分を生命保険で補った方がいいでしょう。

 逆に貯蓄だけで何とかなりそうなリスクは後回しにします。医療保険やがん保険などは、ある程度以上自由に使えるお金がある場合はいらないかもしれません。

 後ほどそれぞれの生命保険について詳しく考えてみたいと思います。

3. 年齢によって生活に必要な金額が変わることを考慮する

 生活で必要になるお金は、全年齢で一定ではありません。一般的には、子どもが大学を卒業するまでは増えていき、その後減っていきます。

 以下は東京海上日動あんしんコンサルティングのライフプランシミュレーションの一例です。30歳会社員の夫、28歳専業主婦の妻、0歳子どもの3人家族、2年後に第2子が生まれる、現在の年収420万円、60歳で退職、退職一時金1,137万円、2,500万円の住宅をローン30年で購入、子どもの大学は私立、などの条件でシミュレーションしてみました。かなり簡易的なものです。本当は出産費用などのライフイベントでもうちょっと費用がかかります。

 一番上の色がついているグラフが支出です。オレンジが教育費、青が住宅ローンです。やはり子どもが大学卒業した後は教育費が無くなり、全体の支出がかなり減ります。65歳になると住宅ローンの支払いも終わり、年金の支給が始まります。

 あくまでこれは一例で、人や家族構成によっていつどれだけお金が必要になるかは千差万別ですから、自分や家族の場合はどうなるのか、ある程度シミュレーションをしておいた方が、生命保険選びの精度は上がると思います。

 このライフプランシミュレーションが試してみたい方は東京海上「ライフプランニング・サービス」のページにいって「初めて使う方はこちら」をクリックすれば使えます(Flash Playerが必要)。Flashが動かなくて利用できない人は、もっと簡易的ではありますが日本FP協会「ライフプラン診断」など、他にもあります。 

ライフイベントにかかる費用はどのぐらい?

 日本FP協会によると、主なライフイベントでかかる費用の目安は以下のようになるとしています。 

ライフイベント 詳細 費用の目安
就職活動費 リクルートスーツ代、交通費、宿泊費など 約15万円
結婚費用 結納・婚約~新婚旅行までにかかった費用総額(全国推計値) 約436万円
出産費用 出産費用の総額(入院料・室料差額・分娩料・検査・薬剤科・処置・その他) 約49万円
教育資金 子ども1人当たりの総額(幼稚園から高校まで公立、大学のみ私立の場合) 約950万円
住宅購入費 住宅の平均購入価格で、建売住宅は約3,280万円、マンションは約3,960万円 約3,280万円
老後の生活費 高齢夫婦無職世帯の支出約27万円/月 約27万円
介護費用 介護保険受給者1人当たり費用額は約16万円/月 約16万円
緊急資金 生活費の3か月分~1年分を確保(1か月の生活費が20万円なら60~240万円) 約60万円

 もちろん、これはあくまで目安にすぎません。実際の費用は人によって全く違いますが、人生のタイミングによって必要な費用がこれだけ変わるのだ、ということはある程度把握しておいた方がいいと思います。 

4. お宝保険の見直しは慎重に

 1990年代までに生命保険に加入した場合、その生命保険はお宝保険である可能性があります。なぜなら、予定利率が高いからです。 

予定利率とは?

 予定利率というのは、保険会社が私たちに約束する運用利回りのことです。例えば、保険料が年間10万円で予定利率が5%だとしたら、「5,000円は保険会社が運用で稼ぎますから、あなたは残りの9万5,000円を支払ってくださいね」という意味です。つまり、予定利率が高ければ高いほど、私たちの保険料は安くなり、逆に保険会社は儲けが少なくなるのです

 以下の表のように、予定利率は時代と共に変化してきました。

契約時期 保険の加入期間による違い
10年以下 10年超~20年以下 20年超
~1952年3月 3.00
1952年4月~1976年3月 4.00
1976年4月~1981年3月 5.50 5.00
1981年4月~1985年3月 6.00 5.50 5.00
1985年4月~1990年3月 6.25 6.00 5.00
1990年4月~1993年3月 5.75 5.50
1993年4月~1994年3月 4.75
1994年4月~1996年3月 3.75
1996年4月~1999年3月 2.75
1999年4月~2001年3月 2.00
2001年4月~2013年3月 1.75 1.50
2013年4月~現在 1.00

 バブルの時期などは予定利率を高めにしても保険会社はバンバン儲かったのですが、現在は予定利率1%しかありません。 

予定利率の低い保険に「転換」させたい保険会社

 大手生保の営業員の中には、保険の更新期に「転換」をすすめてくる人がいます。転換とは、今まで加入していた保険を実質的に解約して、新しい保険にまるごと入りなおすという手法です。保険会社はこの転換によって、予定利率の高い保険を現在の予定利率の低い保険に変えさせたいのです。営業員は転換という言葉はあまり使わず、「下取り」 などと言います。要は言葉による印象操作です。

 実際、この転換作戦によって、生命保険会社の平均予定利率はかなり下がり、経営の負担が減りました。予定利率の低い保険への転換は、保険会社にメリットがあっても私たち消費者には基本的にメリットがありません。もし予定利率の高い「お宝保険」をお持ちの方は、安易に転換してしまわないように気をつけた方がいいです。

5. 保険料の割安なネット生保を上手に利用する

 大手生命保険会社とネット生命保険会社では、保険料にかなりの差があります。理由は簡単で、大手は営業員の人件費や営業所の維持費などが多くかかるからです。

 例えば男性の場合、加入期間10年、給付金3,000万円の定期保険(死亡保険)の保険料は、これぐらい差があります。

加入時の年齢 大手生保A(配当金有り) アクサダイレクト
【定期保険2】
30歳 8,010円 3,220円
40歳 11,580円 6,640円
50歳 20,820円 15,370円

 大手の場合、毎年の決算で剰余金が出た場合は配当金としてかえってくることもありますが、せいぜい保険料の10%前後であることが多く、結局、保険料はネット生保より割高になります。

 また、各ネット生保のホームページでは保険料をシミュレーションできるようになっていて、具体的な金額がすぐに分かる場合が多いのですが、大手生保だとほとんどの場合シミュレーションが用意されておらず、なかなか保険料が分からないようになっています。これはおそらく、保険料が割高であることをあまり知られたくないからだと思います。 

「大手の方が潰れにくくて安心だから」は本当か?

 これだけ保険料に差があっても、未だに大手のシェアは大きいです。小さい会社は潰れそうで怖いとか、そういうイメージがあるのかもしれません。

 しかし、生命保険会社の健全性をみる世界共通の尺度「ソルベンシー・マージン比率」は、大手生保会社でもネット生保会社でもそんなに変わりません

 また、生命保険会社が潰れたときは保護機構が私たちの保険契約を保護するのですが、そのとき私たちに支払われる保険金がどの程度保護されるかは、その仕組み上、責任準備金(将来私たちに保険金を支払うために会社が積立てているお金)と予定利率が小さいほど保護されます。現在の利率は1%と小さいですから、責任準備金の小さい掛け捨ての生命保険であれば、保険金はほとんど減額されません

 このことからも、私たち消費者は保険料の安いネット生保をもっと利用した方が得ではないでしょうか。

社会保険の詳細

 それでは、ここから各保険の詳細を見ていきたいと思います。まずは社会保険からです。社会保険がどこまで保障してくれるのかが分からないと、生命保険も選べません。

 すでに社会保険は把握しているという方や、あとででいいという方は、次の『生命保険の詳細』にお進みください。 

遺族年金

 年金加入者が死亡したときに、残された遺族に支給されるのが遺族年金です。

 遺族年金には『遺族基礎年金』と『遺族厚生年金』などがあり、条件によっては『中高齢寡婦加算』や『経過的寡婦加算』などが追加されます。遺族年金がもらえる条件は、死亡者が入っていた年金の種類や家族構成によって変わってきます。

 以下は例として、死亡した夫が国民年金に入っていた場合と、厚生年金に入っていた場合に分け、夫の平均標準報酬月額*は35万円、加入期間を25年として計算した場合です。年金額は2015年度のものです。

*『平均標準報酬月額』とは、4月、5月、6月の平均給料を標準報酬月額表に当てはめて決定した数値。厚生年金の納める金額や給付額を決めるために使われる。 

  国民年金 厚生年金
もらえる人 ① 子のいる妻(子のいない妻はもらえない)
② 子
① 妻か子
② 父母
③ 孫
④ 祖父母
もらえる年金 子3人の期間 年額1,303,900円(月額108,658円)
[遺族基礎年金]
年額1,865,000円(月額155,416円)
[遺族基礎年金+遺族厚生年金]
子2人の期間 年額1,229,100円(月額102,425円
[遺族基礎年金]
年額1,790,200円(月額149,183円)
[遺族基礎年金+遺族厚生年金]
子1人の期間 年額1,004,600円(月額83,716円)
[遺族基礎年金]
年額1,565,700円(月額130,475円)
[遺族基礎年金+遺族厚生年金]
子0人で妻が65歳未満の期間
(夫死亡時に妻が40歳未満の場合)
なし 年額561,100円(月額46,758円)
[遺族厚生年金]
子0人で妻が65歳未満の期間
(夫死亡時に妻が40~64歳の場合)
なし 年額1,146,200円(月額95,516円)
[遺族厚生年金+中高齢寡婦加算]
子0人で妻が65歳以降の期間 年額780,100円(月額65,008円)
[妻の老齢基礎年金]
年額1,341,200円(月額111,766円)
[遺族厚生年金+妻の老齢基礎年金]

 「子」というのは、18歳になる年度の末日までの子どものことです(1級・2級の障害状態にある子どもの場合は20歳未満)。18歳(20歳)以上になると子どもにはカウントされません。例えば、子どもが3人いる人でも、子どもが18歳になるたびに2人、1人と減り、3人目の子どもが18歳になった時点で子0人とカウントされ、遺族基礎年金の給付はストップします。一方、遺族厚生年金は子どもがいない人でも受け取れるので、子どもが一定の年齢になって受け取れなくなるということはありません。

 他にも、妻が死亡して夫がもらう場合や、昭和31年4月1日以前生まれの人に追加される『経過的寡婦加算』など、遺族年金には細かい条件が色々あります。より詳細な条件や計算方法が知りたい方は日本年金機構「遺族年金」のページをご覧ください。

障害年金

 年金加入者が障害を抱えたときに受け取れるのが障害年金です。国民年金加入者は『障害基礎年金』が、厚生年金加入者は『障害基礎年金』+『障害厚生年金』が受け取れます。障害の程度を表す「障害等級」というのがあって、等級によって受け取れる条件と金額が違います。

 以下は等級による条件の違いと、例として障害状態になった人の年収が約400万円、かつ配偶者と子ども1人がいる場合の受け取り金額です。等級による条件の詳細は厚労省が出しているこちらのPDFファイルをご覧ください。

  国民年金 厚生年金
条件 1級 1. 両眼の視力の和が0.04以下のもの
2. 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
他、計11項目
2級 1. 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
2. 両耳の聴力レベル90デシベル以上のもの
他、計17項目
3級 なし 1. 両眼の視力が0.1以下に減じたもの
2. 両耳の聴力が40センチメートル以上では通常の話声を解することがで きない程度に減じたもの
他、計14項目
金額 1級 1,199,100円 2,328,600円
2級 1,004,100円 2,003,600円
3級 なし 580,000円

 障害年金の上記金額はあくまで目安です。遺族年金同様、障害年金の計算方法も複雑です。詳細は日本年金機構「障害年金」をご覧ください。

傷病手当金

 ケガや病気で仕事ができないときにもらえるのが傷病手当金です。会社の健康保険組合や、全国健康保険協会に加入している人が対象です。国民健康保険の加入者は対象になりません。

条件 以下すべてを満たしたとき
① 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
② 仕事に就くことができないこと
③ 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
④ 休業した期間について給与の支払いがないこと
支給される期間 支給開始した日から最長1年6ヵ月
金額 1日につき被保険者の標準報酬日額(標準報酬月額の30分の1)の3分の2
例) 標準報酬月額300,000円(標準報酬日額=10,000円)の場合、1日につき6,667円

 詳細は全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき」が分かりやすいと思います。

労働者災害補償保険(労災保険)

 仕事中や通勤途中でケガ、病気、障害、あるいは死亡した場合に給付金が出るのが労働者災害補償保険、通称「労災保険」です。よく「これ労災おりるのかなぁ」などといいますが、これのことです。保険料は会社が全額負担。そのせいか、馴染みが無いと感じる人が多いようです。

 傷病手当金と似ていますが、傷病手当金は業務外のケガ・病気に、労災保険は業務中のケガ・病気に適用されます。

保険に加入できる人 基本的に全ての労働者(強制加入)
加入できない人 ・労働基準法で労働者に該当しない人(個人事業主、法人の代表取締役、家事使用人、同居の親族等)
・海外派遣者
ただし特別加入制度(労災保険情報センター「特別加入制度」参照)で加入する方法がある
保険料 事業主が全額負担
保険給付の種類(カッコ内は通勤中の災害の場合) ・療養補償給付(療養給付)
・休業補償給付(休業給付)
・障害補償給付(障害給付)
・遺族補償給付(遺族給付)
・葬祭料(葬祭給付)
・傷病補償年金(傷病年金)
・介護補償給付(介護給付)
・二次健康診断等給付
・社会復帰促進等事業による特別支給金
給付金額 労災保険情報センター「保険給付等の種類」参照

 条件や手続きが結構面倒なのですが、かなり強力な保険なので、仕事中や通勤中に災害に遭った場合は申請することを忘れないようにしましょう。具体的な受給条件や申請の仕方などは会社や医師にきくか、労災保険情報センター「一般・労働者のかた 業務災害と通勤災害の概要」が参考になると思います。

雇用保険

 失業した人がスムーズに再就職できるように支援するのが雇用保険です。

保険に加入できる人 以下の労働者
・1週間の労働時間が20時間以上
・31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者
保険料 月給の0.5%(月給300,000円なら1,500円)
給付の種類 ・基本手当
・就職促進給付
・教育訓練給付
・雇用継続給付
給付金額や受給条件 ハローワークインターネットサービス「雇用保険手続きのご案内」参照

 基本手当はざっくりいうと、今までの1日の賃金の50~80%(低賃金ほど高率)が90~360日(年齢、雇用保険の期間、離職理由などで変わる)ほど給付されます。

公的年金

 公的年金は65歳(申請で60~70歳)から受給できるお金です。私たちに最もなじみのある年金ですね。私たちは職種によって

・第1号被保険者:自営業者、学生、無職
・第2号被保険者:会社員、公務員
・第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている人

に分かれており、それぞれ国民年金と厚生年金への加入が義務付けられています(共済年金は平成27年10月に厚生年金に統一)。

  第1号被保険者 第2号被保険者 第3号被保険者
どんな人? ・自営業
・無職の人
・20歳以上の学生
・会社員
・公務員
・第2号被保険者に扶養されている配偶者
(年収130万円未満(一定の障害状態にある人は180万円未満)の人)
加入する公的年金 国民年金 国民年金+厚生年金 国民年金(扶養者が厚生年金保険料を払うことで、国民年金に加入)
加入期間 20~60歳までの40年間 在職中(20歳未満含む。最長70歳まで) 20~60歳までの40年間
毎月支払う保険料 16,260円(平成28年度) 平均標準報酬月額の8.914%(平成28年8月31日まで) なし
将来支給される年金の種類 老齢基礎年金 老齢基礎年金+老齢厚生年金 老齢基礎年金
毎月支給される金額(40年納付の場合) 65,008円 156,496円(例として平均標準報酬月額428,000円の場合) 65,008円
いつから支給される? 65歳。ただし申請すれば60歳~70歳の間で変更可。受給時期を繰り上げるほど(60~64歳)支給額は減り、繰り下げるほど(66~70歳)増える。

 会社員や公務員は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受け取れる上に、配偶者は保険料無しで老齢基礎年金を受け取れます。国民年金だけの自営業者と比べるとかなり有利ですね。

 厚生年金の支給額の計算はまた例によって複雑なので、計算したい方は社会保険労務士PSRネットワーク「簡易年金試算ツール」などが便利です。

生活保護

 生活に困窮する人を保護する最後の砦が生活保護です。

適用の条件 以下の全てを満たし、なお収入が最低生活費に満たない場合に適用
① 資産の活用:預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充てる
② 能力の活用:働ける場合はその能力に応じて働く
③ あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けられる場合は、まずそれらを活用
④ 扶養義務者の扶養:親族等から援助を受けられる場合は援助を受ける
保険料 月給の0.5%(月給300,000円なら1,500円)
生活最低費 例) 東京都中野区在住(賃貸)の夫(32歳)、妻(30歳)、子(3歳)の場合:月228,180円
給付金額 最低生活費から他の収入を差し引いた額

 生活保護の申請は、地域の福祉事務所の生活保護担当が窓口です。全国の福祉事務所は厚生労働省「福祉事務所一覧」をご覧ください。

健康保険・介護保険

 健康保険は医療費が3割負担になります。国民は国民健康保険(国保)、全国健康保険協会(協会けんぽ)、健康保険組合(健保組合)などのどれかに加入します。

 介護保険は40歳以上で介護が必要になった人の介護サービス料が1割(or 2割)になる保険です。65歳以上の人を「第1号被保険者」、40~64歳の人を「第2号被保険者」といいます。第1号被保険者で一定以上の所得がある場合は、自己負担が2割になります。

ケース 自己負担割合
本人の合計所得が160万円未満 1割
本人の合計所得が160万円以上 世帯の第1号被保険者の年金収入+その他の合計所得金額が
・単身で280万円以下
・2人以上で346万円以下の場合
1割
上記以外の場合 2割

 また、介護保険は無制限に保険が適用されるわけではありません。要介護度別に上限が設けられており、超えた分は全額自己負担になります。

要介護度 1割(2割)負担限度額
要支援1 50,030円
要支援2 104,730円
要介護1 166,920円
要介護2 196,160円
要介護3 269,310円
要介護4 308,060円
要介護5 360,650円

 介護保険の加入は健康保険とセットです。原則全ての人が40歳から保険料の支払いが始まります。健康保険料と介護保険料は、その人の収入や市区町村によって変わります。例えば、全国健康保険協会に加入、東京都在住、45歳、標準報酬月額300,000円の場合なら、平成28年度の健康保険料は月14,940円、介護保険料は月2,370円となります。

高額療養費制度

 病気やケガの治療費が高額になったとき、自己負担額が一定の金額で済むのが高額療養費制度です。どんなに高額な治療費でも、自己負担額を超えた分があとで払い戻されます。

 自己負担限度額はその人の収入によって変わります。

収入 自己負担限度額 4か月目以降
年収約1160万円~ 252,600円+(医療費-842,000円)×1% 140,100円
年収約770~1160万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1% 93,000円
年収約370~770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
~年収約370万円 57,600円 44,400円
住民税非課税 35,400円 24,600円
※70歳以上はさらに軽減される

 表中の「医療費」は1か月でかかった医療費です。あと列右の「4か月目以降」というのは、高額療養費の認定が過去12か月で4か月目以降のとき、という意味です。4回目以降はさらに低くなるわけですね。

 注意点がいくつかあります。

(1) 医療費が2つの月をまたぐと、各月の医療費が低くなり、支給を受けられなくなることがある。もし調整ができるなら手術や入院は月の初めからにしたほうがよい。

(2) 2年で時効になって申請できなくなるので、高額な医療費がかかったら必ず忘れずに申請すること。

(3) あらかじめ自分が加入している健康保険の窓口で「限度額適用認定証」をもらっておけば、最初から上限額だけの支払いで済む。

(4) 家族の中にも治療中の人がいて、自己負担額21,000円を超える場合は、合算して家族全体の負担をより軽くすることができる(世帯合算)。保険の窓口で「家族も高額の医療費を使いました」と伝えれば計算してくれる。

(5) 対象は健康保険が適用される医療費だけなので、差額ベッド代(1~4人部屋に入室したときにかかる費用)や食事代などは対象外。

高額介護サービス費

 費用が高額になったときの救済措置は介護保険にもあります。上限額は世帯や本人の収入によって変わり、世帯上限と個人上限で違う場合もあります。

対象者 上限額
生活保護を受給している人 15,000円(個人)
世帯全員が市町村民税非課税の人   24,600円(世帯)
・老齢福祉年金を受給している人
・本人の公的年金収入額+合計所得金額80万円以下の人
24,600円(世帯)
15,000円(個人)
世帯内の誰かが市町村民税課税の人 37,200円(世帯)
世帯内に課税所得145万円以上の被保険者がおり、かつ世帯内の第1号被保険者の収入の合計額が520万円(世帯内の第1号被保険者が本人のみの場合は383万円)以上の人 44,400円(世帯)

 これも2年で時効になってしまうので、申請を忘れないように要注意です。

高額医療・高額介護合算療養費

 医療費と介護費がどっちも高額になった場合は、合算してさらに安くすることができます。8月から翌年7月までの年間で医療費と介護費を合わせた額が上限額を超えると、超えた分は払い戻されます。

標準報酬月額 70歳未満の年間上限額 70歳以上の年間上限額
83万円以上 212万円 67万円
53~79万円以上 141万円
28~50万円以上 67万円
26万円以下 60万円 56万円
低所得者 34万円 19~31万円

 この高額医療・高額介護合算療養費の制度については特に忘れないように注意が必要です。というのも、市区町村や健保組合では医療費と介護費の両方を把握していることが意外と少ないようなのです。だから「合算すれば上限を超えていますよ」と教えてくれることはあまりありません。高額になったと思ったら介護保険の窓口で「自己負担額証明書」を交付してもらい、それを健康保険の窓口に出して計算してもらいましょう。

会社の福利厚生と団体保険

 他にも会社に勤めている人の場合は、会社が独自に支給する「福利厚生」があります。会社によっては死亡退職金や弔慰金などがかなり大きい場合もあるので、生命保険を選ぶ前に確認しておかねばなりません。

 また、勤務先の会社や団体で入る「団体保険」は、まとめて事務手続きができるために保険料が安い場合が多いので、これも候補になります。

 福利厚生と団体保険の保障内容は会社によって千差万別なので、会社の規約でご確認ください。

生命保険の詳細

 次に生命保険を見ていきます。社会保険で足りない部分を埋めるように、また、家族構成やタイミングも考慮して選ぶ必要があります。 

定期保険

 一定の期間内に死亡や高度障害になったときに保険金が給付されるのが、定期保険です。

 家族の最大の危機とは、大抵の場合、働き手が亡くなった時ですので、社会保険や福利厚生で足りないなら、優先して検討すべき生命保険の1つではないでしょうか。 

非喫煙健康者は割引がきく定期保険があることを忘れずに

 以下の表は、定期保険(男性、保険金2,000万円)の保険料です。

加入期間 オリックス生命保険
【Bridge(ブリッジ)】
アクサダイレクト
【定期保険2】
ライフネット生命
【かぞくへの保険】
チューリッヒ生命
【定期保険プレミアム】
非喫煙 標準体
30~40歳 2,393円 2,230円 2,210円 2,100円 3,000円
30~50歳 3,149円 3,072円
30~60歳 4,179円 4,540円 4,566円 3,660円 5,640円
40~50歳 4,601円 4,510円 4,498円 3,440円 5,480円
40~60歳 6,507円 6,740円 6,816円 4,900円 8,060円
50~60歳 10,367円 10,330円 10,536円 7,880円 11,840円

 チューリッヒ生命の「非喫煙」というのは、過去1年間喫煙をしていなくて、最高血圧120mmHg未満、最低血圧80mmHg未満の人が入れる保険です。非喫煙者で健康体の人は、こういう健康体割引のある保険が有利です。

 保険料は加入期間などによっても変わってきますので、きちんとシミュレーションをした方がいいです。大抵のネット系生命保険会社はホームページにいけばシミュレーションできます。

 

収入保障保険

 定期保険と同じで、保険加入者が死亡or高度障害になった場合に給付金が受け取れます。じゃあ定期保険と何が違うのかというと、

受け取れる保険金が年々減っていくのです。当然、保険金が減る分、保険料も安く済みます。

 例えばアクサダイレクト生命保険で、30歳男性が定期保険(保険金3,600万円)と収入保障保険(月10万円)にそれぞれ60歳まで加入した場合を比較すると、こうなります。

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 収入保障保険に加入した後、すぐに死亡すると保険金総額は10万円×12か月×30年=3,600万円ですが、35歳で死亡した場合は10万円×12か月×25年=3,000万円、55歳で死亡した場合は10万円×12か月×5年=600万円と、徐々に減っていきます。その分、保険料は定期保険と比べると大分安くなります。保険料は基本的に必要な生活費は年齢が進むにつれて減っていきますが、収入保障保険はそれに沿っているわけです。 

逓減払込方式は得なのか?

 では保険料はどの程度なのか、具体的に見てみましょう。以下は男性が毎月15万円給付の収入保障保険に60歳まで加入した場合の保険料を比較したものです。損保ジャパンやチューリッヒなら、たばこを吸わない健康体の人は割引がききます。

加入時の年齢 アクサダイレクト生命
【収入保障2】
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命
【家族のお守り】
チューリッヒ生命
【収入保障保険プレミアム】
非喫煙 標準体 非喫煙 標準体
30歳 3,738円(毎月13万円) 3,585円 4,920円 3,315円 5,160円
40歳 4,650円 3,960円 5,700円 3,540円 5,730円
50歳 5,445円 3,645円 5,205円

 また損保ジャパンの場合、「逓減(ていげん)払込方式」といって、5年ごとに保険料が5%ずつ減っていき、最後の5年は半分に減る、という方式も選べます。同じ損保ジャパンの毎月同じ保険料を払う方式と比べるとどうなるのか、計算してみました。

 例えば、毎月15万円給付の収入保障保険に30歳~60歳まで加入した場合の保険料を比較するとこうなります。

年齢 逓減払込方式 毎月同じ方式
30~35歳 4,005円 3,585円
35~40歳 3,805円 3,585円
40~45歳 3,604円 3,585円
45~50歳 3,404円 3,585円
50~55歳 3,204円 3,585円
55~60歳 2,003円 3,585円
30~60歳までの合計支払金額 1,201,530円 1,290,600円

 保険料の合計金額が9万円弱程減りますね。ただ、45歳までは毎月同じ方式の方が安いです。若い時ほどお金が無くなりやすいことを考えると、毎月同じ方式でもいいのかもしれません。 

一括で受け取ると総額が減ることに注意

 収入保障保険の保険金は、毎月受け取る方法以外にも一括で受け取る方法もあります。子どもの学費など、まとまったお金がすぐに必要な場合に使えます。

 しかし、一括で受け取るときの金額は、毎月の受け取りでもらえる総額よりも少なくなります。例えばアクサダイレクトの場合、30歳男性が月10万円給付される収入保障保険に60歳まで加入し、40歳で死亡したとすると、毎月の受け取りなら全部で2,400万円受け取れますが、一括で受け取ると2,103万円になります。約88%ほどに減るんですね。このことも考慮したうえで、保険を選んだ方がいいと思います。

医療保険

 病気やケガで入院したときなどに給付金が出るのが医療保険です。医療保険を選ぶ前に、まず私たちが病気になったら何日くらい入院するのかを知っておく必要があります。 

平均入院日数だけを見ない

 例えば「三大疾病」といわれる「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」の平均入院日数は、このようになっています。

病名平均入院日数
病気全体 31.9日
がん 19.9日
虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症) 8.2日
脳血管疾患(脳卒中) 89.5日
厚生労働省 平成26年患者調査より値引用

 医療保険やがん保険の話になると、この平均入院日数を出してきて「だから医療保険やがん保険は必要だ」と言うサイトがたくさんあります。しかし、平均日数だけ見て判断するのはやめた方がいいです。というのも、平均値をとると、ほんの一部の人の長い入院日数が平均値をぐんと高めてしまうからです。

 人がそれぞれの病気で何日入院したかをグラフにすると、こうなります。縦軸がその日数入院した人の割合です。

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厚生労働省 平成26年患者調査より値引用

 また、約70%の人が入院した日数は以下のようになりました。

病名 約70%の人が入院した日数
病気全体 15日
がん 15日
虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症) 4日
脳血管疾患(脳卒中) 50日

 全体的に平均入院日数よりかなり短いですよね。こうしてみると大分印象が変わるのではないでしょうか。 

高額療養費制度で思いのほか安くなる

 さらに健康保険には「高額療養費制度」があります。例えば平均的な収入の人なら、月の自己負担額は80,100円+(医療費-267,000円)×1%で済みます。それぞれの病気の1日にかかる治療費は病状や病院によってピンキリなのですが、高額療養費制度を使えば結局近い金額に抑えられます。短い入院なら意外と安く済む場合も少なくないのです。

 ただし、これは保険が適用される範囲の話。入院中の食事代と差額ベッド代は全額自己負担になるので、この点には注意です。差額ベッド代とは個室や2人部屋など特別な病室を希望するとかかる費用で、1日5,000円~かかります。 

医療保険はまだ貯蓄が心許ない人のための"つなぎ役"

 結論としては、「病気のリスクには、ある程度貯蓄のある人は貯蓄で対応した方がよい。ただし貯蓄が足りない人はつなぎとして医療保険を利用するのもあり」というのが大方のFPなどの意見です。医療費はかかっても数十万円以内で済む場合が多いし、自分の努力次第で病気をある程度予防することもできるからです。FPの間では「何にでも使える貯蓄が100~150万円あるなら、医療保険やがん保険はやめた方がいい」という意見もあります。

 しかし、"自由に使える100~150万円"を常に確保しておくのは、一般的な家庭において、そんなに簡単なことではありません。そういう貯蓄が無い場合は、貯蓄ができるまでのつなぎとして医療保険を使うのも手です。例えば「都道府県民共済の生命共済」などは保険料が安くて使いやすいです。

 生命共済の入院保障2型の場合、月々の掛け金(保険料のこと)は全年齢で2,000円とかなり割安です。しかも、都道府県民共済には「割戻金(わりもどしきん)」という、余った掛け金を年度末に返してくれる仕組みがあります。

 例えば、平成26年度の東京都民共済の割戻金は、入院保障2型で月換算で652円でしたから、月々の実質掛け金は2,000-652=1,348円でした。それで入院給付金が1日10,000円、手術給付金が2.5万円・5万円・10万円です。これぐらいの保険料なら貯蓄ができるまでのつなぎとして使いやすいかもしれません。

がん保険

 がんは数ある病気の中でも罹患率が高く、かつ治療が長引きやすい病気の一つです。というのも、再発予防や定期検査で通院を続けなければならなかったり、再発や転移があったりするからです。 

全部で100万円ほどかかることも

 1年目にかかるがんの治療費は、早期発見かつ健康保険が適用される治療だけで済めば、大体50万円程度です。しかし2年目以降も検査や治療が続くこともあり、結局全部で100万円ほどかかる場合も多いです。 

診断給付金に注目

 がん保険の選び方で特に重視したいのは、「診断給付金が出る条件が分かりやすいかどうか」です。診断給付金とは、「あなたはがんです」と診断された瞬間に給付が確定するお金です。100万円などのまとまった金額が給付されます。

 なぜ診断給付金が大事なのかというと、他の給付金はもらえるとは限らないからです。最近のがんは入院せず、通院で治療するケースが増えてきています。もし通院になると当然、「入院給付金」はもらえません。「通院給付金」もがんの内容によってはもらえないときもありますし、「手術給付金」も絶対手術をするとは限りません。しかし、診断給付金だけはがんになれば確実に給付されるのです。

 ちなみに医療保険にはこの診断給付金がありません。がんで診断給付金を受け取るにはあくまでがん保険に入る必要があるので、その点には注意が必要です。 

終身ではなく定期で十分

 先ほど医療保険の項目でも触れましたが、「100~150万円程度の貯蓄があればがん保険はいらない」という考え方でいくなら、がん保険はあくまで貯蓄ができるまでのつなぎです。だったら、もしがん保険を選ぶ場合、終身ではなく定期を選ぶことになります。

 例えばアクサダイレクト生命のがん定期(10年)の場合、保険料は加入時30歳なら650円、40歳なら970円、50歳なら1,780円です。それで診断給付金100万円、入院給付金1日1万円です。

就業不能保険

 ケガや病気で長期間働けなくなったときに給付金が出るのが就業不能保険です。

 就業不能になってから給付金の支払いが始まるまでには一定の期間が設けられています(免責期間)。180日が基本です。つまり働けなくなって180日後から、毎月手取り収入の6~7割程度を上限に支給されます。 

会社員・公務員は「傷病手当金」で十分か?

 会社員や公務員の人なら、健康保険に「傷病手当金」があります。仕事を休み始めて4日目から最長1年半の間、標準報酬日額の3分の2が支給されます。さらに、1年半経っても完治せずに障害が残った場合は、障害年金が給付される可能性もあります。そうなると、就業不能保険より他を優先するという考え方もあると思います。

 一方、自営業の人は傷病手当金が無いので、就業不能保険の優先度は上がります。 

医療保険の保障には期限がある

 医療保険には保障期間に限りがあるので、ケガや病気が長引いたときには対応できません。

 例えば、先ほど触れた都道府県民共済の入院保障2型の場合、ケガや病気で入院すれば1日1万円の給付金が出ますが、事故で入院した場合は184日目まで、病気で入院した場合は124日目までしか出ません。

 「医療保険やがん保険は、100~150万円程度の貯蓄があるなら必要ない」という考えがありますが、ケガや病気が長期化した場合は100~150万円では対応できません。特に傷病手当金が出ない自営業の人なら、貯蓄がある人でも一度検討してみるといいかもしれません。例えばライフネット生命の就業不能保険なら、30歳男性、月額15万円受け取り、65歳までの加入で、保険料は2,794円です。 

うつ病などは対象外

 うつ病などの精神障害や医師が症状をはっきりと診断できない場合は対象外であることに注意です。理由は、「なりすまし」を見抜く方法が医学的に確立していないからです。

終身保険・養老保険

 終身保険と養老保険は、加入者が死亡、または高度障害になったときに保険金が給付されます。この点は定期保険と同じです。

 では何が違うのかというと、途中で解約しない限り必ず保険金が受け取れるところです。終身保険なら加入者が死亡したときいつでも、養老保険なら契約期間が終わったときに必ず保険金が支払われます。こういう保険のことを「貯蓄型」といいます。これに対し、定期保険などは契約期間が終わったときに保険金が支払われることはありません。もし契約期間中に加入者が死亡しなければ、保険金は支払われないで終わりです。こういう保険のことを「掛け捨て型」といいます。

 これだけで考えると、まるで「保険は掛け捨て型は損、貯蓄型の方が良い」と思えそうですが、もちろん、そんな単純にはいきません。貯蓄型は保険料が高いのです。 

積み立て型で現役期間を乗り切れるか?

 以下は、30歳男性が保険金1,000万円、60歳までの期間(終身保険は60歳までに保険料支払い完了)で契約した場合の保険料です。

  オリックス生命
【定期保険ブリッジ】
オリックス生命
【終身保険ライズ】
オリックス生命
【養老保険】
保険料 2,203円 18,380円 27,080円
30~60歳の保険料総額 793,080円 6,616,800円 9,748,800円

 保険料の支払いを60歳までに終える、という条件で比較すると、これだけの差があります。

 保険とは、自分や家族の危機を救う切り札であると同時に、月々の保険料が貯蓄を減らしていくという、諸刃の剣です。確かに終身保険や養老保険は最後には保険金がもらえます。しかし保険金がもらえるのは、子どもが自立して支出が減る時期になってようやく、という人が多いと思います。最もお金が必要な時期に高い保険料を支払い続けることは、逆に家族を危機に陥れる可能性があります。 

途中解約するとどうなるか?

 もし途中で解約すると、ある程度はお金が戻ってきます(解約返戻金)が、もちろん元本割れ(元手が減ってしまうこと)します。

 例えば、先ほどのオリックス生命・養老保険の場合、40歳の時に解約したら、解約返戻金は約2,909,000円です。対して40歳までに支払う保険料総額は3,249,600円です。ということは、3,249,600-2,909,000=340,600円の元本割れになります。貯蓄性があるという理由で契約したはずなのに、結局お金を減らしてしまうことになるのです。 

なぜ昔は人気があったのか?

 昔は貯蓄型の保険はとても人気がありました。なぜなら、予定利率が高かったからです。

 1990年当時、若い人が保険金100万円・30年満期の養老保険に入れば、保険料総額が60万円程度で済むような場合もありました。これはつまり、60万円程度払えば、30年で40万円程度の利益が出た、ということです。これはさすがにおいしい、ということで、貯蓄型の保険はとても人気があったのですね。予定利率が高い時代には、こんなお宝保険が売られていたのです。

 しかし、現在の予定利率は1%。保険金が100万円なら、保険料総額もほぼ100万円です。つまり、ほとんど利益が出なくなったのです。利益はほとんど出ないのに、毎月の高い保険料というリスクは払わなければなりません。だから、貯蓄型の保険は人気が無くなったのです。

 もし終身保険や養老保険のような貯蓄型の保険を検討する場合は、保険料を支払いながら毎月の出費に耐えられるのかをよく考えて決める必要があります。

学資保険(子ども保険)

 学資保険も終身保険や養老保険と同様、貯蓄型の保険です。子どもの入学や進学の時期に祝金や保険金が受け取れるようになっており、契約者が死亡すると保険料の払い込みが免除されます。 

学資保険は「ドアノック商品」

 保険業界で学資保険が「ドアノック商品」と呼ばれていることは有名です。ドアノック商品とは要するに「他の商品を売るためのきっかけに使われる商品」という意味です。ネットでも「学資保険に入りたいと言ったら、終身保険の方がいいと勧められた」などの体験談をよく見ますが、そういうことです。

 学資保険はその仕組み上、生命保険会社にとってあまり儲かる商品ではないため、学資保険を入り口にして、できるだけ他の商品を売ろうとしてくるのです。この点には注意が必要です。 

学費は子育て費用の一部でしかない

 例えばソニー生命保険の学資保険Ⅲ型の場合、30歳男性(子ども0歳)、保険料の支払い期間を子どもが18歳になるまでで加入すると、こうなります。

保険料 保険料総額 受け取る学資金の総額
8,392円 1,812,672円 2,000,000円

 子どもが22歳になるときまでに全ての学資金が受け取れます。保険料の支払い総額が1,812,672円で受け取る学資金の総額は200万円ですから、187,328円増えて返ってくることになります。

 しかしその分、保険料が割高になります。子育てにかかるお金は学資だけではありません。この保険料が家計を圧迫するようなら、無理して入るのはやめた方がいいでしょう。終身保険や養老保険と同じです。 

最後に

 生命保険に「この保険なら絶対に良い」というものは存在しません。どの生命保険が良いかは、その人の職業や収入、家族構成、目標とする生活などによって全く違うからです。私たちが上手に生命保険を選ぶには、社会保険のカバー範囲を知り、自分の人生にどの程度のお金が必要かを把握し、そのうえで生命保険の保険料や条件をよく見て、比較する必要があります。

 もし自分で全て考えるのが大変だという場合は、プロに相談してヒントをもらうのもありでしょう。ただしそれは、社会保険や生命保険に関する知識(例えばこの記事でまとめたような)をある程度持った状態でするべきです。そうすれば最後は他人に流されたりせず、あくまで自分で考えて決断することができると思います。