口臭を消す方法まとめ 1日中「息が臭い」と思われないために

千年の恋も冷める口臭の問題。誰もが「この人の息、臭い!」「今、自分の息は臭いのでは・・・」と気にしたことがあるはずです。

江崎グリコが2011年8月に発表した「人との距離感覚に関する意識調査」によると、人との距離が近づいたときに不快に感じることの第1位が口臭(83.4%)でした。大切な人間関係を壊してしまわないためにも、口臭対策は重要です。

今回はその口臭を消す方法について、まとめてみたいと思います。 

 

口臭の原因になる病気を治す

口臭を徹底的に消すことを考えるなら、まず最初に「口臭の原因になる病気がないかどうか」が重要です。

病気が原因の口臭は生活習慣の改善だけでは消せないので、歯科での治療が必要です。

歯石、虫歯、歯周病

歯石は歯についた歯垢が石灰化して固まったもので、どんなに丁寧に歯みがきをしても少しずつ増えていきます。

歯石には新たな歯垢がくっつきやすいという特徴があるので、歯周病の原因になります。当然、口臭の原因にもなるので除去する必要がありますが、家庭の歯みがきでは取ることができないため、歯科でスケーラーなどを使って取ってもらわないといけません。

虫歯や歯周病も口臭の原因になりますので、これらがある人は治療が必要です。

糖尿病、蓄膿症、 鼻炎など

他にも糖尿病や蓄膿症、慢性鼻炎、気管支炎、肺がん、咽喉頭がん、慢性扁桃腺炎、食堂狭窄、胃炎、胃潰瘍、胃がん、肝硬変など、口臭の原因になる病気は結構あります。

健康診断や人間ドックで病気が見つかった場合、まずその病気の治療が先決です。

生活の中で口臭を消す方法

次に病気が原因でない口臭ですが、これは生活の工夫次第でほぼ完全に消すことができます。

その方法について順番に書いていきたいと思います。

デンタルフロスで徹底的に歯垢を除去する

歯の手入れは、歯ブラシだけでは不十分です。どうしても歯の間に歯垢が残り、それが口臭の原因になります。

歯垢を徹底的に除去するには、デンタルフロスが不可欠です。

デンタルフロスには、糸巻きタイプとホルダータイプがありますが、どちらでもいいです。自分が使いやすい方を選べばOKです。

以下の動画は、SUNSTARがデンタルフロスの使い方を説明した動画です。

デンタルフロスをきちんとやった場合と、いい加減にやった場合では、口臭の程度にかなり差がつきます。デンタルフロスはていねいにやりましょう。 

歯磨きを正しく行う

歯磨きも、正しく行わないと歯垢が残り、口臭になります。同じくSUNSTARの動画がありますので、参考になさってください。

また、口臭の原因になる成分を減らしてくれる歯磨き粉を使うと、より口臭予防効果が高まります。

例えば、薩摩刀豆なたまめ歯みがきを使った人の場合、病的口臭の主な原因である「メチルメルカプタン」が80%減り、生理的口臭の主な原因である「硫化水素」が54%減った、という研究報告があります。

食後の口内ケアの方法

口臭は、口の中が中性のときに無臭になり、酸性のときにきつくなります。特に食後は口の中が酸性になっているので、これを中性に戻してやる必要があります。

しかし、だからといって朝起きたときと寝る前のように、普通に歯みがきをするのは避けた方が無難です。

口の中が酸性になっているときは歯の表面がもろくなっているので、歯ブラシでゴシゴシこすると歯が薄くなる原因になるのです。さらに、口臭を防ぐために重要な「だ液」を洗い流してしまいます。

あと、食後は食べカスが舌の表面にかなり残るので、舌を傷つけないように食べカスを取り除くことも有効です。

歯ブラシで舌をゴシゴシみがくと、舌の表面にたくさんある舌乳頭という突起がちぎれ、それが口臭の原因になることがあります。なので歯ブラシで舌をみがくのはやめたほうが無難です。

以上のことをふまえたうえで、ほんだ歯科の本田俊一院長は著書「キレイな息のつくり方」の中で、食後の口内ケアについて次の方法を勧めています。

(1) 飲食後、水で(歯みがき粉を使わず)軽く歯をみがき、軽くすすぐ
(2) 水を含み、舌の表面を口内天井部分にコシコシすり合わせて洗い、含んだ水を飲み込む
(3) 水に味や臭いを感じなくなるまで繰り返す

私は含んだ水は出しちゃいますが、いずれにせよ、これで食後の口内ケアは大丈夫かと思います。 

すっぱいものを思い浮かべる

だ液には口内の強い殺菌・抗菌・洗浄効果があり、口臭予防には欠かせません

普段どんなに口内を綺麗にしている人でも、だ液が減れば必ず口臭が出てきます。だ液は口臭予防に欠かせません。

そのだ液をお手軽に増やす方法の一つとして、「すっぱいものを思い浮かべる」という手があります。

例えば、梅干しを見るとすっぱい感覚がわき起こり、勝手にだ液が出ますよね。あのように、人間はある特定の刺激に対して決まった反応をすることがあります。この「刺激と反応の組み合わせ」は意図的に作り出すこともでき、それをNLP(神経言語プログラミング)では「アンカリング」といいます。

野球選手が打席に入るときに必ず同じ動作(儀式)をしますが、あれもアンカリングの一種と考えることができます。集中力が高まるんですね。

もしすっぱいものを思い浮かべてもイマイチだ液の量が増えない場合は、実際にそのすっぱいものを見て食べて、本当にすっぱいことを何回か体感するといいです。

何回か体感してそのすっぱい感覚を視覚と味覚から体に叩き込めば、やがて思い浮かべるだけでだ液が出るようになると思います。

キシリトールガムは噛むより転がす

キシリトールにはだ液の分泌を促進する作用があるため、口臭予防に向いているのですが、最初ある程度噛んだらあとは丸めて舌の上をコロコロと転がしておくのが有効だと、本田院長はいいます。

例えば目にゴミが入ったら自然に涙が出ますよね。あれと同じように、口内に異物が入ると自然にだ液が出るようになっています。

この性質を利用して、口の中でガム(異物)を転がしておけば、反射的にサラサラしただ液が出続けてくれるということです。

緊張したときの口臭を消すには 

緊張しているときは口臭が出やすくなります。その主な原因は次の2点です。

1. 口内を舌で密閉してしまうから

人間の舌は、リラックスしているときは下の前歯付近に力が抜けた状態で自然に落ちているのですが、緊張しているときは力が入って口内天井部分にはりついてしまいます。よかったら確認してみてください。今、舌の位置はどこにありますか?

口内天井部分に舌をはりつけると口内の空間が狭くなります。この状態を続けると、口内の酸素の入れ替えが進まず酸欠状態になり、嫌気性細菌(酸素を苦手とする細菌)が繁殖し、それが口臭の原因になります。

2. 緊張することで交感神経が優位になるから

だ液には、交感神経が優位なときはだ液の量が減り、ネバネバなだ液(口臭の元になる)が多くなるという特徴があります。

逆に副交感神経が優位なときはだ液の量が増え、サラサラなだ液(口臭を防ぐ)が多くなります。

緊張すると交感神経が優位になるので、その分だ液の量が減り、ネバネバなだ液が増え、口臭がきつくなってしまいます。

では、緊張してしまったらどうすればいいのか?

まず舌の位置を確認します。舌が天井にはりついていないかどうか確認し、下の前歯の手前に舌の先がくるように位置をなおします。

奥歯は噛むのではなく、軽く浮かせておき、唇は力を入れずに軽く閉じておきます。

軽く舌を動かすのもいいです。舌を動かせばそれが刺激になり、だ液の分泌が促進されます。

次に、自分に合った緊張をほぐす方法を見つけておくと便利です。

例えば深呼吸など、何か特定の動作でリラックスするクセを普段から身につけておくと、いざ緊張したときもその特定の動作でより効果的にリラックスできるようになります。先ほどお話した「アンカリング」ですね。

あとはすっぱいものを思い浮かべてもいいし、ガムを噛んで転がしてもいいので、だ液を増やすようにします。

水分補給はただの水で行う

水分が足りなくなるとだ液の分泌量も減るため、水分不足にならないようこまめに水分補給をすることが大切です。

このとき飲料としてベストなのが「水」。口臭の元になるような余計な成分が入っておらず、水分補給だけを純粋に行えます。

逆に気をつけたいのは「お茶」や「コーヒー」などのカフェイン含有飲料です。カフェインには強い利尿作用があるため、体から水分が余計に出て行ってしまいます。

さらにカフェインは興奮成分として知られているように、交感神経を活発にする働きがあります。交感神経が優位になるとだ液の分泌量が減り、ネバネバだ液が増えることはすでにお話しました。

こういう成分が入っている飲料より、ただの水のほうが口臭を消すには都合がいいです。

寝る前と起きた直後は必ず歯みがきをする

だ液の量を意図的にコントロールできない唯一の時間が「睡眠時」です。

寝ているときはだ液の分泌速度が極端に遅くなり、口内が乾燥しやすくなります。すると細菌が爆発的に増え、朝起きたときには口内の細菌は寝る前の約30倍に増えるといわれています。

本田院長いわく、これは「うんこ10グラム量の細菌がいるのと同じ状態」なのだそうです。

ということで、寝る前には必ず歯みがきをしてできるだけ口内の細菌を減らしておき、朝起きたらまたすぐ歯みがきをするようにして、細菌の繁殖を最低限におさえましょう。

 

 

鼻呼吸の習慣を身につける

口呼吸は口内が乾燥しやすくなるので、口臭の原因になります。口臭を防ぐには口呼吸を治し、鼻呼吸にしなければなりません。

鼻呼吸の習慣を身につける方法はいろいろあります。

・1日に数回、口を閉じてガムを噛む(転がす)
・食事の時、ものを噛むときは口を閉じて、普段よりたくさん噛むことを意識する
鼻孔を広げるテープを使う
口閉じテープを使う

ちなみに鼻孔を広げるテープや口閉じテープは、睡眠中にも有効です。

寝ている間に口を開けてしまうクセのある人は口内が乾燥して朝起きたときの口臭がよりきつくなるし、いびきの原因にもなります。

しばらくテープを使って口を閉じて寝るようにしていれば、やがてテープがなくても口を閉じて寝られるようになりますので、それ以降はテープは必要なくなります。 

空腹になるのをできるだけ避ける

空腹になると、ネバネバだ液の増加・胆汁酸の消化などの原因で口臭がきつくなってきます。特に1日の始まりである朝食は重要です。

しっかり噛んでだ液をたっぷり出し、自律神経をカチッと切り替えておけば、その日1日の口臭をコントロールしやすくなるといわれています。

もし空腹なのに食事をとれない場合は、水を飲んでおくだけでも違います。空腹による口臭を防ぐという意味でも、水をこまめに飲む習慣は重要です。

飲みの席で口臭を消すには

オオヤ歯科医院の大矢浩登院長は著書「かわいい女性になれる愛され息のつくり方」のなかで、飲みの席で口臭を消す方法を2つ紹介しています。

(1) 氷を口に含む

口内の温度が下がると、口臭の元になるガスの発生が減少します。生ごみでも、暑いときは悪臭が強くなり、寒いときは弱くなりますよね。あれです。

ついでに水分補給にもなるし、温度が下がるので細菌の活動低下も期待できます。氷って、結構優秀な口臭防止剤なのですね。

(2) 銀のスプーンを舐める

口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物が銀と反応し、違う物質に変化します。

例えばシルバーアクセサリって磨かずにいると黒くなっちゃいますよね。あれは空気中に含まれる硫黄が銀と反応したためです。あんな感じで口臭の原因物質が違う物質に変化するため、口臭が弱まるのですね。

コーヒーを飲んだら舌の表面を掃除する

コーヒーは元々口臭の原因になりやすい飲み物ですが、かといってコーヒー好きな人がコーヒーを全く飲まないわけにはいきません。

そこで、コーヒーを飲んだ後は舌表面を掃除するとよいです。コーヒー豆やコーヒーに入れたミルク・砂糖は舌表面に残りやすく、これが口臭の元になります。

これを先ほど説明した舌の磨き方(水を含み、口内天井部分に舌をこすりつける)でキレイにしておけば、コーヒーによる口臭をある程度は防げます。

ただ、「少しでも口臭を出したくない」というときには、やはりコーヒーは飲まないほうが無難です。

自臭症に注意

口臭には「自臭症」という厄介なものがあります。自臭症とは、他人には感じないのに「自分は息が臭い」と思い込んでしまう症状のことです。主に周囲の人にニオイを指摘されることで発症してしまう人が多いです。

口臭チェックは人の鼻でしてもらう

自臭症を防ぐには、自分の口臭がないことをしっかり確認することが重要です。口臭を消す工夫をひととおりしてるけど、それでも自分の口臭が不安という場合は、一度自分の口臭をチェックしてみましょう。

そのチェックの方法について、本田院長は「市販の口臭チェッカーなどではなく、家族や歯科医などちゃんと人に嗅いでチェックしてもらうべき」といいます。その理由は、現在のところ人の嗅覚ほど正確な測定器が存在しないからです。医科用の数十万円する口臭測定器ですら過信はできないのだとか。

というわけで口臭チェックは、家族など信頼できる人にお願いするか、周りの人では抵抗があるなら歯科にいってチェックしてもらいましょう。

自分の口臭が消えたことを確信したいわけだから、やはり100%確実な方法でチェックするべきです。

あまりにも不安が大きければ、精神科受診という選択肢も

どうしても自分の口臭が不安で仕方ない場合、自臭症が進んでしまっているのかもしれません。

自臭症の治療は、自分の臭いが人に迷惑をかけていないことを理解することが重要で、精神科で心理療法と薬物療法が行われます。

症状が進むとなかなか自分で治すことは難しいので、その場合はキチンと精神科を受診することが大切です。

口臭に悩みがある人は、ひょっとしたらそれは自臭症かもしれないこと、そしてその場合は精神科の受診という選択肢があるということを知り、一人で悩みを抱え込んだりしないようにしてください。