おならが臭い・止まらない場合の原因と対策

おならが臭い・止まらない場合の原因と対策

おならは生理現象なので誰でも出るのは当たり前なのですが、やたらと臭いおならや止まらないおならには病気が隠れていることが多いため、注意が必要です。

今回は臭いおならや止まらないおならの原因と対策について、まずは重大な病気の有無、次に生活習慣の改善、そしてIBSやSIBO、遅延型フードアレルギーというふうに、順番にまとめてみたいと思います。

 

病気が潜んでいないか確認する

あまりにも臭いおならが続く場合は、何か重大な病気を抱えている可能性があります。その場合はまず病院で検査を受け、病気があるのかないのかハッキリさせておくことが重要です。

大腸がん

名古屋大大学院の研究報告によると、大腸がん患者のおならに含まれるメタンチオール(腐った玉ねぎのような臭い)は、健常者の10倍以上の高さで検出されました。腐った玉ねぎのような臭いのおならが続く場合は大腸がんの疑いがあるので要注意です。

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜に潰瘍やびらんができる病気で、おならが臭くなります。

大腸憩室症

憩室(けいしつ)とは腸管の内壁の一部が外側に向かって飛び出した状態のことで、これが複数見られる状態のことを大腸憩室症といいます。これも臭いおならの原因になることがあります。

おならが臭い・止まらない原因と対策法

善玉菌が減る

腸内には善玉菌と悪玉菌がいます。善玉菌が腸内の環境を整えてくれる一方、悪玉菌はタンパク質を分解し、アンモニア、硫化水素、インドール、スカトールなどニオイの強いガスを発生させます。これら物質が原因となって、おならが臭くなります。

善玉菌は乳酸などの酸を作り、腸内を酸性にして悪玉菌をやっつけてくれるのですが、逆に善玉菌が減ると悪玉菌が繁殖しやすくなり、臭いおならになってしまいます。

善玉菌を増やすには乳酸菌などを食べ物から摂ればいいのですが、普通だと腸に届く前に胃酸によって死滅してしまうので、腸まで届く乳酸菌を摂るのが効果的です。例えば、

新ビオフェルミンS

は、整腸効果を高める「ビフィズス菌」、乱れた腸内菌叢を整える「フェーカリス菌」、有害菌をおさえる「アシドフィルス菌」という3種類の善玉菌を同時に腸まで届けてくれるもので、これでおならや便のニオイが軽減したという人も多いようです。

消化不良を起こしている

消化不良を起こすとおならは臭くなります。

特に日本人が気をつけた方がいいのは、ヨーグルトなどの乳製品です。なぜなら日本人には乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)が多いからです。

乳糖不耐症とは乳糖(ラクトース)を消化する酵素が少なくて、消化しきれない状態のことです。乳製品にはこの乳糖が含まれているので、乳製品をとると消化不良を起こしてしまいます。牛乳を飲んでおなかが痛くなりやすい人は、乳糖不耐症で消化不良を起こしている可能性が高いので、その場合は乳糖を含む製品はとらないほうが無難です。

ニオイの元になるものを食べ過ぎる

動物性タンパク質である「肉」、そして硫黄化合物が多い「にら」「にんにく」「ねぎ」など、こういったニオイの元になるものを食べれば、その分おならは臭くなりやすいです。

早食いをする

早食いをすると余計な空気を飲み込んでしまい、おならが出やすくなるといわれています。よく噛んで食べ物とだ液をしっかり混ぜることでガス抜きをしてから飲み込むと、飲み込む空気を最小限にできます。

ちなみに大量の空気を飲み込むことでおならやげっぷが出る症状のことを、空気嚥下症(くうきえんげしょう)、または呑気症(どんきしょう)といいます。

炭酸飲料を飲む

炭酸飲料に含まれる炭酸は、体内に入ると炭酸脱水酵素によって二酸化炭素と水に分解されます。その結果、炭酸飲料を飲むとおならやゲップが出やすくなるといわれています。実際にビールや炭酸ジュースを飲んでおならが出やすくなると感じる方は、飲まないほうが無難です。 

食物繊維を過度に摂る

食物繊維は大腸で分解される際、発酵してガスを発生させるので、過度に摂るとおならが出やすくなってしまいます。しかし食物繊維には便通をよくするという効果がありますので、摂らないというわけにはいきません。

ではどの程度摂るべきなのか?厚生労働省は「食事摂取基準2010年版 [PDF]」で1日の食物繊維目標量を、男性19g女性17gとしています。

また、松生クリニックの松生恒夫院長は著書「排便力をつけて便秘を治す本」の中で、便秘解消をするには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を1:2の割合で摂ることを勧めています。松生クリニックで行った実験によると、水溶性食物繊維7g不溶性食物繊維14gの割合で摂取した場合に、排便において最も良好な結果が得られたとのことです。便秘気味の方は一つの参考になるかと思います。

 

歯列接触癖がある

歯列接触癖とは上下の歯がずーっと触っている癖のことです。

グーッと食いしばっているときはもちろん、上下の歯が触っている程度でも、全身の筋肉が緊張し、少しずつ疲労していきます。それが頭痛や肩こり、腰痛など、痛みの原因になってしまいます。

それだけでなく、上下の歯で噛み続けるとだ液の分泌が促進され、飲み込む回数が多くなります。だ液を飲むときには空気も同時に飲み込むので、結果的にたくさんの空気を飲み込んでしまい、それがお腹にガスを溜め、おならの回数を増やします。

東京医科歯科大学准教授の木野孔司さんは、歯列接触癖を直すにはメモ用紙による治療法が有効だといいます。「歯を離す」と書いたメモを、定期的に目をやる場所や集中する場所(パソコンなど)に貼っておき、メモを見たら「フー」と息を吐きます。そうすることで息を吐くという新たな癖が身に付き、逆に上下の歯で噛むという癖から離れていくことができる、ということです。

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群(以下、IBS)とは、炎症や潰瘍などが無いのに、下痢・便秘・ガス過多などを引き起こす病気のことです。自律神経の異常や、過度なストレス、精神的な不安などが引き金になることがあります。生活習慣を改善してもおならが止まらない、特に人前などで緊張したり不安になったときに症状がひどくなるという場合は、IBSかもしれません。

IBSには厚生労働省研究委託費研究による治療ガイドラインがあります。

過敏性腸症候群の治療

「自分はIBSかもしれない」と思って病院に行くことを検討されている方は、病院に行く前にこの治療ガイドラインの中身を確認しておきましょう。そうすると、「医師は何を知りたくてその質問をしているのか」などが分かりやすくなり、医師との意思疎通がスムーズになります。質の高い治療を受けるには重要なことです。

医師にはできるだけ詳細な情報を伝えたほうがいいです。北里大学外科学教授の渡邊昌彦さんは著書「「おなかが弱い!」が治る本」の中で、病院との上手な付き合い方についてこう述べています。

「IBSには、心のどこかのストレスが原因になっている可能性があるので、医師には不安な要素はすべてお話しいただければと思います。たとえばそれが、よく眠れない、肩こりがひどい、会社で人間関係のトラブルがある・・・などなど、ごく一般的な、ありふれた話であってもです。いくらなんでもこれは関係ないだろう、と思っていても、医師はそれらをパズルのように組み合わせ、症状の全体像をつかんでいきます。

どうしても話しにくかったり、診察時間内では話しきれないと思うときには、メモを作成して見せてくださるのも助かります。たとえば、お通じの状態だけではなく、何時に起きて、何時にどんな内容のお食事をされて、何時に休んで・・・といったことを中心に、不安やストレスを感じていること、気分、睡眠の状態などについて細かく教えていただくのは、心療をする側にとって大きなヒントになります。

IBSの患者さんを受け持っている医師ならば、「こんなつまらないことはいう必要はない」などと、話を遮られることはないはずです。ですから患者さん自身も、遠慮したり、気兼ねしたりなさらなくて大丈夫です。逆に、話を聞いてもらえる時間がないようなら、時間を取って聞いてくれる医師を探したほうが、治療にとってもプラスだと思います。」

腸内細菌や薬の副作用 

東邦大学医療センター大森病院教授の瓜田純久さんは2011年12月14日放送のNHKためしてガッテンの中で、腸内細菌や薬が原因で慢性の下痢を引き起こすこともあると指摘しています。

(1)小腸に腸内細菌が入り込む

通常、小腸の中は細菌が少ないが、風邪などで免疫が衰えると腸内細菌が小腸に入り込んでしまうことがある。これを小腸が追い出そうとする結果、食べ物が消化されないまま大腸にいってしまい、下痢を起こす。抗生剤を飲んで下痢が止まる場合は、このケースであることが多い。(ちなみに腸に異常な数の細菌が繁殖してしまう症状を、腸内細菌異常増殖症候群:SIBOといいます)

これを解決するには、小腸に異常繁殖した腸内細菌を減らすことが重要。そのためには、病院で抗生物質を処方してもらう(日本では保険適応外)か、腸内細菌に栄養を与えないようにして餓死させる。腸内細菌を餓死させるには以下の2つが有効。

・食事を腹八分までにおさえる
・何も食べない時間を1日につき8時間以上確保する(夕飯を早めに食べて寝れば達成しやすい)

(2)薬が大腸にバリアを張る

胃薬や高血圧の薬、鎮痛薬などを飲み続けたり、2種類以上の薬を組み合わせて飲むと、薬を分解する酵素が足りなくなり、分解されないまま大腸に到達することがある。それを大腸は「有害だ」と判断し、コラーゲンのバリアを作って吸収しないようにする。すると水分の吸収まで妨げてしまうので、結果下痢を引き起こす。例えば以下の薬。

・胃薬:プロトンポンプ阻害薬
・高血圧の薬:カルシウム拮抗薬
・鎮痛薬:非ステロイド性抗炎症薬

同じような効果を持つ他の薬に変えたり、薬の服用そのものを中止することで改善する。

遅延型フードアレルギー

卵などの食べ物によるアレルギーによって、腸の調子が悪くなることもあります。

食物アレルギーには2種類あります。

【即時型フードアレルギー】
食後数秒~数分で痒みやむくみ、じんましん、呼吸困難などの症状が出る。そばやエビなどでよくみられる。

【遅延型フードアレルギー】
食後数時間~数十時間で症状が出る。便秘や下痢、腹部膨満感、過敏性腸症候群などの消化器系の症状だけでなく、頭痛、慢性疲労、うつ、ドライスキン、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など、人によって様々な症状が出る可能性がある。症状が出るまでに時間がかかるため(たとえば朝食べた物のアレルギー反応が夕方になってやっと出る、など)、専門の検査を受けない限り食品ごとにアレルギーの有無を判別するのは難しい。

特におならに関しては遅延型フードアレルギーが関係している可能性がありますので、生活習慣や過敏性腸症候群などの改善努力を行っても治らない場合は、自分がアレルギー反応を起こす食べ物を食べてしまっていないか一度確認しておいたほうが無難です。

アレルギーの検査は病院で受けることができますが、検査キットを購入して自宅で採血を行い、検査機関に郵送して後日検査結果をレポートで返してもらうという方法もあります。

IgG 96 スタンダード・フード・パネル 

これは乳製品、フルーツ、ナッツ、穀類、野菜、肉類など、日本人にとってお馴染みの食品96種類について、それぞれにどの程度の強さのアレルギー反応があるのか、0(無反応)~6(極めて高い) の7段階で評価してくれる検査キットです。近場に遅延型フードアレルギー検査を実施している病院がない場合は、これで検査するという手もあります。

ちなみにこの検査は保険がきかないため、病院の検査・検査キット共に価格が高めになっています。