巻き爪治療で絶対知っておきたいこと 手術なしの治し方
「巻き爪治療は、手術なしが基本」
現在はそういう指針の医師が増えてきています。
実は巻き爪は、せっかく激痛を我慢して麻酔を打ち、抜爪(ばっそう)などの手術を行ったとしても、抜爪後に生えてくる爪がまた巻いてしまいます。ですから今はそういった手術ではなく、ワイヤーやクリップなどを使う「保存的治療」によって、ある程度時間をかけて矯正していくのが主流になってきています。これなら痛みもあまりありません。
しかし、皮膚科や整形外科を訪ねたところ、いきなり爪を抜かれる・切られるという手術をされて相当痛い思いをした、という人もいます。治療を始める前に、まずは自分で巻き爪治療の現状を知っておくことが重要です。
というわけで今回は巻き爪治療について、まとめてみたいと思います。
なぜ手術を優先する医師が少なからずいるのか?
手術なしの巻き爪治療というのは、比較的新しいです。昔の医学書では切る・抜くという外科的処置が基本でした。
また、爪というのは医学の世界ではあまり注目されない分野です。
「神楽坂 肌と爪のクリニック」の野田弘二郎院長は、「爪という領域は医学のなかで取り残されている分野。とても地味で、あえてこれを掘り下げて取り組む医師がいない」といいます。
このことから、爪の専門家が少なく、巻き爪の最新の治療法についてあまり詳しくない医師も少なからずいるようです。
ですから、巻き爪治療を行う場合は、自分で勉強し、自分で治療法を選ぶことが重要です。何の知識もなしにその辺の病院にふらっと行き、医師のいいなりになるのは、ギャンブルです。
巻き爪の治療法
それでは、巻き爪の治療法には具体的にどんなものがあるのか、ご紹介したいと思います。
巻き爪用クリップ
『ドクターショール』というところがだしている、巻き爪専用のクリップです。S・M・Lサイズの3種類があります。
⇒ドクターショール 巻き爪用クリップ
Cu-Al-Mn系形状記憶合金のクリップを爪のカーブに合わせて差し込み、爪を平らにします。
簡単に扱えるのはいいのですが、巻き具合がひどい場合や、ある程度爪が伸びていないと使えないので、注意が必要です。
巻き爪ロボ
ドクターショールで手に負えない巻き爪の場合には、巻き爪ロボが有効です。
以下が、巻き爪ロボを使って巻き爪を治した瞬間の動画です。
医療機器の認可も取得した、本格的な巻き爪矯正器です。
3TO (VHO)
ステンレスワイヤーのフック2本を爪の左右にひっかけ、爪の中央でグッと巻き上げることで矯正する治療法です。
【3TO(VHO)の具体的な手順】
⇒VHOの施術手順|巻き爪矯正技術VHO
【3TO(VHO)の治療を受けられる病院を探す】
⇒VHOによる巻き爪矯正が受けられる病院、医療機関 | 巻き爪矯正技術VHO
マチワイヤ
爪に注射針などで穴を開け、Ni-Ti形状記憶合金ワイヤーを通すという治療法です。ワイヤーがびよーんとまっすぐに戻ろうとする力を利用して爪を平らに矯正します。
【マチワイヤの様子や詳細】
⇒マチワイヤに関する質問集
【マチワイヤによる治療を行っている病院を探す】
⇒「マチワイヤ、マチプレートを使用する病院・医院リスト」で検索すると都道府県別一覧ページが出てきます。
こういったワイヤーなどによる巻き爪治療でも再発することはあります。が、再発しない人も多いし、もし再発してもまたワイヤーを使えばいいだけです。
爪は髪の毛などと同じで常に伸びるものですから、手術であれワイヤーであれ、根治治療は存在しません。気長に治療していくしかありません。
陥入爪が合併している場合
陥入爪(かんにゅうそう)とは爪が肉に食い込んでしまい、痛みや出血を伴う症状です。
巻き爪にこの陥入爪が合わさった場合「難治陥入爪」といい、治療が大変になります。できればそこまで悪化する前に、治療を行うべきです。
陥入爪の場合、マチワイヤ、コットンパッキング、ガター法、硝酸銀の塗布などの治療を行います。
【陥入爪治療の詳細】
⇒マチワイヤ・テクニカル・ティップス (肉芽に対して)
巻き爪・陥入爪を悪化させないための注意点
爪の切り方・切るタイミング
深爪したり角を切りすぎたりすると、それが巻き爪や陥入爪の原因になってしまいます。ここでは、野田弘二郎院長が「あさイチ(2013年2月11日放送分)」で説明していた「爪の切り方」を参考に、まとめてみます。
・切るタイミング
風呂上り。爪が柔らかく、割れにくいため。
・長さ
白い部分(爪先)が0.5~1ミリ残す。深爪すると肉が爪の周りを圧迫し、その結果爪が曲がって巻き爪になったり、爪が肉に食い込んで陥入爪を起こす。
・爪の形
足の親指は四角い形に切る。角を切ると肉に食い込みやすくなるため。角は爪やすりで軽く丸くする程度にとどめる。他の指は自然に丸い形に切る。
・爪やすりのかけかた
爪やすりは一方向になでるようにかける。往復させたりゴリゴリ強くこすったりすると、爪に亀裂が入りやすくなる。
・切る頻度
手の爪は2週間に1回くらい。足の爪は1か月に1回くらい。
・使用する爪切り
よく切れるものを使う。切れ味が悪いとそれだけ爪に無駄な負荷がかかる。
つま先を圧迫する靴・靴下を履かない
指を圧迫するような靴や靴下を履いていると良くありません。靴・靴下はゆとりのあるサイズのものを選びましょう。
靴下の分厚さにも気をつけた方がよいです。
過体重を解消する
身体が重い場合、その分だけ足の指にかかる負担も大きくなり、巻き爪・陥入爪が悪化します。
とにかく慌てて手術を受けないこと
日本人の10人に1人が巻き爪に悩んでいるといわれています。
もし巻き爪の知人がいる方は、慌てて手術を受けたりせず、まずはワイヤーなどによる保存的治療を一度考えてみた方がいいと教えてあげてください。