正しい歩き方で膝の痛み・O脚などを治す
歩き方が体に与える影響は絶大です。厚生労働省によると、現在の日本人の平均歩数は男性7,100歩、女性6,300歩だそうです。少なく見積もって1日6,000歩だとしても、1週間で42,000歩、1か月で180,000歩、1年で2,190,000歩も歩いていることになります。
もしこのとき、脚に無駄な負荷をかけるような悪い歩き方をしていたらどうでしょう。例え1歩の負荷は小さいものでも、6,000歩、42,000歩、180,000歩、2,190,000歩と歩けば、確実にその負荷は蓄積し、その結果O脚などの体の歪みの原因になったり、膝・腰などの痛みが出てしまいます。1歩の歩き方が何百万歩、何千万歩の負荷の大きさを決めてしまうわけですから、考えてみると怖い話です。
今回はその"正しい歩き方"について、まとめてみたいと思います。
正しい歩き方については諸説あり、これが絶対の正解というわけではありませんが、それでも一つの歩き方として少しでも参考になれば幸いです。
1. 音が鳴らないように柔らかく着地する
地面に足を着地させたときに「タン」とか「ドン」と音が鳴る場合、その衝撃がそのまま足裏、足首、膝などに返ってきます。いわば、足を地面にわざわざ叩きつけているようなものです。これを何千歩、何万歩と繰り返していれば、関節への負荷も蓄積してきます。衝撃ができるだけ返ってこないようにするためには、地面をできるだけ柔らかく踏む必要があります。
音が鳴らないように柔らかく着地するには、いくつかコツがあります。
膝をロックさせない
膝をグッと伸ばしきってロックした状態にしてしまうと、脚が棒みたいに固くなってしまい、着地したときの膝への衝撃が大きくなります。逆に少しでいいので膝関節に余裕を持たせておき、脚を柔らかく使うと負荷が小さくなるといわれています。
つま先・膝は常にまっすぐ前を向くようにする
これは着地するときに限らず、足と膝は常にまっすぐ前を向いた状態にしておきます。足がハの字になったり、逆ハの字になったりすると、膝や足首にかかる力が均衡でなくなり、歪みの原因になり得ます。
足をあまり高く上げず、前に出す
足を前に出すときに高く上げると、その分着地するときに衝撃が大きくなります。足は上げるというより、前にスッと出す、というイメージで動かすと衝撃が小さくなります。
かかとから優しく着地する
足はかかとから優しく着地します。このとき、体があまり上下しないように気をつけます。着地のときに体を沈ませると余計なエネルギーを使ってしまうので疲れます。
かかと側から順番に足の裏全体を着地していく
かかとから着地したら、順に足の裏を地面に着地していきます。このとき、いきなり足の裏全部を同時に地面に下ろしてしまうと「タン」と音が鳴ってしまいます。あくまで足を柔らかく使い、かかと側から順次着地していきます。
このとき足裏の外側に体重がかかってしまわないように気をつけます。特にO脚の人は外側に負荷が流れやすいので注意が必要です。
では逆に足裏の内側に体重をかければいいのかというと、それも違います。それだと今度は足首がねじれてしまい、やはりO脚が悪化します。O脚は足首のねじれ、膝関節・股関節・骨盤などの歪み、外側・内側の筋肉のアンバランスなど、様々な原因が重なって起こっています。
足裏の外側にも内側にも偏ることなく、あくまで足裏全体でまっすぐ着地するようにします。
これらを意識しながらしばらく歩いていれば、やがて静かに着地できるようになります。歩くときにどうしても「タン」「ドン」と音が鳴ってしまう方にはオススメです。脚への負担が減ります。
2. お尻の穴を軽く締める
着地するときに足裏の全部を使うのですが、太もも・膝下は内側の筋肉を使うように意識して歩く必要があります。特にO脚の人は、太もも・膝下も外側の筋肉に体重が偏りやすいので注意です。
では、どうすれば太もも・膝下の内側を使えるのかというと、お尻の穴を軽く締めた状態で歩くのです。お尻の穴を閉めると体幹が安定し、体の中心にある筋肉を使いやすくなるからです。これはゴルフなどのスポーツでも重視されています。
思いっきりグーーッ!と締める必要はなく、軽くキュッと締めておくだけで十分です。それだけで、太もも・膝下の内側の筋肉をしっかり使いながら歩くことができます。
3. 足の指でちゃんと蹴る
最近は「指上げ足」といって、足の指がずっと浮いた状態になっていて、歩くときに指を使っていない人が増えているといわれています。これだと重心がかかと側に偏って足裏が不安定になり、効率的な歩行が難しくなります。あと前への推進力が出ないので歩くのが遅くなります。
足が地面から離れるときは、ちゃんと足の指で地面を蹴ります。あまりギューッと力を込めて蹴ると足裏の筋肉が疲れてしまうので、軽く蹴れば十分です。
4. 骨盤を立てる
骨盤が歪むと股関節が内側にねじれ、膝や足首に歪みが出てきます。腰痛の原因にもなるので、骨盤を立てて歩くことが重要です。
骨盤が立っている状態を知るには、以下の動画が分かりやすいかもしれません。
この骨盤の状態を維持して歩くようにします。骨盤を立てたまま歩けているかどうか、鏡で確認します。
骨盤を立てた状態を根気良く作っていけば、骨盤が立った状態に適した筋肉がついてきます。そうなれば骨盤が立った状態が当たり前になり、とても楽に歩けるようになります。
というわけで骨盤の矯正は人によっては結構根気のいる作業になりますが、やっておくと生活が楽になることは間違いありません。
5. 上半身が後ろに取り残されないように注意する
骨盤を立てて歩くようにすると、上半身が後ろに取り残されるように後傾してしまう場合があります。上半身はちゃんと骨盤の上にまっすぐ乗るようにして歩きます。これも鏡でチェックします。
6. 視線をまっすぐ前よりも少しだけ上にする
パソコン作業などで視線を下げていると、首の後ろがピンと張り、やがて痛みが出てきます。逆に視線を上にすると、首の後ろに余裕ができ、痛まないで済みます。
歩くときも、視線をまっすぐ前よりほんの少し上にするだけで、首の後ろが痛むのを防げます。特に普段からデスクワークなどで首が疲れている人は実感しやすいでしょう。
7. 肩の力を抜く
肩は力を抜いて自然にしておきます。最初はいろいろな場所を矯正するので、いつの間にか肩に無駄な力が入ってしまうことがあるかもしれませんが、できるだけリラックスして、無駄な力が入らないようにして歩きます。
まとめ
ちょっと多いので、以下にまとめてみます。
1. 音が鳴らないように着地する
・膝をロックさせない
・つま先と膝は常にまっすぐ前を向くようにする
・足は高く上げずに前に出す
・かかとから着地するときに体を上下させない
・足裏全体で順次着地する
2. お尻の穴を軽く締める
3. 足の指で蹴る
4. 骨盤を立てる
5. 上半身が後傾しないように注意する
6. 視線を少しだけ上にする
7. 肩の力を抜く
歩き方の矯正にどれだけ時間がかかるかは、その人の今の歩き方、体の状態、どれだけ真剣に取り組めるか、などによって変わります。
一人で矯正できる人はいいのですが、もしうまくいかない人は一度姿勢矯正を行っている整形外科や整体院に行って、指導を受けてみるのも手です。自分でも気づかなかった癖や歪みを教えてもらえることが多いようです。