いびきを治す方法まとめ うるさいいびきを確実に改善するには

いびきというと、つい軽く考えてしまう人もいると思いますが、実際はもっと恐ろしいものです。

まず、いびきは人間関係を破壊します。製薬会社エーザイが行ったいびき調査によると、既婚女性158人のうち、9割の人が「夫がいびきをかく」と回答し、そのうち8割の人が「夫のいびきを何とかしたい」と回答しました。特に呼吸が止まるいびき(睡眠時無呼吸症候群:SAS)の場合、うるさいだけじゃなくて怖いんですよね。かなりのストレスになります。

また、エスエス製薬が行ったアンケートでは、男性の41%、女性の15%がいびきをかき、男性だけでなく女性も自分のいびきに悩む人が多いことが分かっています。

さらに、いびきは睡眠時無呼吸症候群や高血圧症、糖尿病、心臓病、脳卒中などの重い病気の原因になり、中には死に至る人もいます。いびきを改善せずに放置することで人生が狂ってしまう、なんてことは大いにあり得るのです。

今回はそんないびきを治す方法について、書いていきたいと思います。

 

自分でいびきをチェックする

いびきの厄介なところは、自分のいびきがどの程度なのか把握しづらいところです。寝ているときは自分のいびきが聞こえませんので。

いびきをチェックするには、やはり録音して自分の耳で確認してみることが一番です。家族や知人に「いびきかいてたよ」「いびきちょっとうるさいよ」と教えてもらうだけでは、「本当にそんなひどいいびきかいてるのかな?大袈裟なんじゃ・・・?」と侮ってしまう方もいると思います。自分の耳で直接聞き、自分のいびきを確信することで、「これはヤバイ、すぐに治さねば」と意識を高めることが、いびき改善にはまず重要です。

いびきをチェックするアプリなら今すぐ無料で使えますし、ICレコーダーやボイスレコーダーを買って使うという手もあります。

もしいびきがやたらうるさい、あるいは途中で呼吸が止まっている場合は、すぐに専門医に診てもらうことをオススメします。呼吸が止まる場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いのですが、放置しておくと日常生活のパフォーマンスが落ちるだけでなく、糖尿病や高血圧症、心臓病、脳卒中など重大な病気を引き起こすこともあり、最悪命を落とす方もいます。SASの検査・治療のできる医療機関に今すぐかかりましょう。「病院に行くほどの症状なのかどうか分からない・・・」と迷っている方も、一度病院でしっかり検査してもらった方が安心だと思います。 

生活習慣を改善する

いびきの改善には、生活習慣の改善が重要です。特に軽症のいびきは生活習慣を見直すだけで治ることもあります。せっかく病院で治療を受けても、生活習慣が原因でいつまでもいびきが改善しないこともあるので注意が必要です。

口呼吸を治す

普段から口で呼吸している方は、寝るときも口を開けて口呼吸をしている可能性が高いです。しかし、口呼吸だと舌が沈みこんで気道を圧迫し、いびきを悪化させてしまいます。他にも口呼吸は口臭の原因になったり、関節リウマチ、花粉症、ドライマウスなど、様々な病気を引き起こします。口呼吸の改善は、いびきを治すだけでなく、他の症状を治すのにも効果抜群です。

ちなみに口呼吸は意外と多くの人がしているものです。自分ではしていないと思っていたのに、実は鼻呼吸と口呼吸の両方を行っていた、なんていう方もいます。そういった方も含め、確実に鼻呼吸を習慣化しておきましょう。

みらいクリニックの今井一彰院長は、著書「正しく「鼻呼吸」すれば病気にならない」の中で、鼻呼吸を習慣化するための方法として以下のことを薦めています。

・夜寝るとき、サージカルテープを口に貼る。
・食事のとき、片方だけで噛むのをやめ、左右のあごを均等に使って食べる。
・ガムやグミを噛んで、咀嚼筋を鍛える。

また、口をしっかり閉じておくには、口周りの口輪筋、咀嚼筋、舌筋などを鍛えることが効果的なのですが、今井院長はその方法として「あいうべ体操」をすることを推奨しています。

(1) 「あー」といって、口を大きく縦に開く
(2) 「いー」といって、口を大きく横に開く
(3) 「うー」といって、口を強く前に突き出す
(4) 「べー」と舌を出して、精いっぱい下に伸ばす

この(1)~(4)までの動き(5秒ほど)を1セットとして、1日に30~60セットを目安に毎日行うと効果があがるとのこと。1セット5秒ということは、30セットだと2~3分ですね。

注意点としては、あご関節症やあごを開けると痛む人は、関節がスムーズに動くようになるまで回数を減らすこと、あるいは「いー」「うー」のみを繰り返すこと(関節に負担がかからないため)、とのことです。

また、口呼吸のためには普段の舌の位置も重要です。舌を上アゴの前歯手前らへんにつけておくのが正しい位置で、これだと鼻呼吸がしやすくなります。時々舌の位置を確認し、ずれていたら修正し、常に正しい位置になるよう習慣づけを行いましょう。

 

肥満を治す

肥満になると首のまわりにも脂肪が多くつき、気道が圧迫されて狭くなり、いびきが悪化します。特に「体重が増えるにつれていびきが悪化した」という方は、まず体重を減らすことを考えましょう。

ダイエットにとって特に重要なのは、カロリー管理、栄養バランス、そして適度な運動です。

カロリー管理

厚生労働省は肥満を防ぐ食事のページの中で、デスクワーカーや主婦などが1日に必要とするエネルギーを、体重1kg当たり25~30kcalであると説明しています。例えば体重60kgの人なら1500~1800kcalということですね。これより超えてカロリーを摂取すれば太る可能性が高まりますので、これを超えないように食事をコントロールすることが必要です。もちろんカロリー収支だけで体重の増減が決まるわけではありませんが、様々な医学的知見からいっても、個人的な経験からいっても、やはりカロリーの影響力は大きいです。

栄養バランス

例えばビタミンが不足すると体の代謝効率が落ちるなど、栄養バランスが崩れるとダイエットに不利になります。カロリーの収支だけを気にするのではなく、タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラル・食物繊維の6大栄養素をバランスよく摂取することが大切です。

適度な運動

運動はカロリーを消費するだけでなく、体の機能を落とさないためにも重要です。そんなにキツイ運動をする必要はありませんが、いつもより少し歩く距離を伸ばすとか、歩くスピードを上げてみるとか、運動量を増やす工夫を無理せずちょっとずつしていくだけでも大分変わってきます。

肥満の度合いがひどい方やどうしても自分だけで痩せられない方は、肥満外来にいくという手もあります。医師が肥満の原因を突き止め、それに合った対策を立ててくれるので、一人でやるよりもダイエットの成功率が高まると思います。

いびき体操

口内の筋肉は年齢とともに落ちてきますが、筋肉が落ちると睡眠中に舌をしっかり支えることができなくなり、舌が気道を狭くしてしまい、いびきが発生します。つまり、口まわりの体操を行って筋肉を鍛えれば、少なくとも筋肉の低下によるいびきは治すことができます。

慶友銀座クリニックの大場院長は、口まわりの筋肉を鍛える方法として以下のいびき体操を推奨しています。

 

枕の高さをちょうど良いものに変える

枕が高すぎて首が曲がるような状態は、気道を塞いでいびきを悪化させます。首が曲がらないで済むようなちょうど良い高さの枕を選ぶ必要があります。

横向きに寝る習慣を身につける

仰向けに寝ると舌がのどに落ちて気道を圧迫するため、いびきをかきやすくなります。今まで仰向けに寝ていた人が横向きで寝る習慣を身につけるには、抱き枕などを使うと有効です。

寝酒をやめる

アルコールは気道周りの筋肉を弛緩させ、気道を狭くしてしまうため、いびきが悪化するといわれています。お酒が好きな方でいびきがひどい場合は、せめて寝る前の酒をやめるか量を減らすだけでも、いびきが改善する場合があります。

睡眠薬の服用を控える

ほとんどの睡眠薬にはアルコールと同じように、筋肉を弛緩させる働きがあります。いびき改善のためには、できるだけ睡眠薬の服用は避けたほうがよいです。

たばこをやめる

喫煙していると、たばこに含まれる有害物質が気道の壁を傷つけ、むくみや炎症が起きて気道が狭くなり、いびきがひどくなるといわれています。特にヘビースモーカーの人は喫煙がいびきを悪化させている可能性が高いため、たばこをやめるか、せめて本数を少しずつ減らしていくことが必要です。

病院で治す

いびきは生まれ持った身体的特徴(あごが小さい、扁桃腺が肥大している、鼻筋が曲がっているなど)が原因であることもありますので、そういう原因の場合は生活習慣の改善だけではいびきは治せません。専門の医療機関であれば、CPAPやマウスピース、外科手術などといった、重症の方にも効果のある方法で治すことができます。

CPAP

睡眠時無呼吸症候群の場合、その治療法として高く評価されているのがCPAPです。マスクから一定の圧力で空気を押し込み、気道の壁を外側に押し広げ、気道を確保するというものです。

CPAPを利用した場合、ほぼ100%の方がいびきや睡眠時無呼吸症候群が改善します。気道が確保され、無呼吸がなくなり、睡眠の効率が高まるため、朝の目覚めが非常に気持ちよくなります。「眠るって本当はこういうことだったのか!」と感動する方も多いそうです。

ただし、CPAPは根治治療ではありません。CPAPの使用をやめれば、すぐ元のいびきや睡眠時無呼吸症候群の状態に戻ってしまうことが多いです。継続して使用する必要があります。

CPAPを利用するにはまず医療機関で検査を行う必要があります。検査の結果、一定の無呼吸が認められた場合に保険適応となります。保険が適応されれば、月5,000円程度(3割負担の場合)のレンタル料と、月1度の診察で使用し続けることができます。

鼻の手術

鼻からのどへの間につまりがあれば、それがいびきの原因になります。この鼻づまりを解消する方法として、鼻の手術があります。

鼻の手術にはレーザー波治療高周波ラジオ波治療などがあり、検査の結果最適だと思われる方法で治療を行っていきます。 

マウスピース

口内にマウスピースを装着することで、下あごを数ミリ前に出し、気道を広げ、いびきを緩和する方法です。歯科で保険適用で15,000円程度で作ることができます。

CPAPには乾燥による鼻やのどの痛み、マスクの装着感などに不快感を感じる人もいるので、CPAPが合わない人はマウスピースを試してみるといいかもしれません。