仮眠・昼寝の効果を最大限引き出し、脳の働きを常に高く維持する方法

仮眠や昼寝の効果については昔から研究されており、思考が鋭くなったり記憶機能が増したり注意力が増したりと、脳のパフォーマンスを高める効果があることが分かっています。米国立精神衛生研究所(NIMH)はパワーナップ(仮眠)に関する報告の中で「私たちは”仮眠を勤務中にとるのは悪いことだ”と思い込むのをやめるべきである」と述べています。

そんな仮眠・昼寝について、では具体的にどうすればその効果をうまく引き出せるのか、専門家の話*を参考にしつつまとめました。  

*参考文献
[1] 脳も体も冴えわたる 1分仮眠法 坪田聡 著
[2] 朝昼夕3つのことを心がければOK! あなたの人生を変える睡眠の法則 菅原洋平 著

 

仮眠・昼寝の基本

昼間に15分~20分程度寝る

人間の眠りの深さは1~4段階に分かれている。3~4段階目まで進んでしまうと起きるのが大変になるため、仮眠の場合は1~2段階目で起きる必要がある。それが眠り始めて15~20分程度。

30分以上寝ると睡眠が深くなり、睡眠慣性が強く働いてしまう。睡眠慣性とは、要は「寝ぼけ状態」。寝すぎると寝ぼけ状態がひどくなり、起きた後のパフォーマンスが落ちてしまう。

眠気のピークは昼の2時~4時の間に一度くるので、その少し前に寝ておくことで一番眠くなる時間帯に対応することができる。会社なら昼休みの食後がちょうどいい。

座って寝る

横になると睡眠慣性が強く働いてしまい、起きた後にダルかったり、最悪起きられずに寝過ごしてしまう。

1分程度の超短時間仮眠も取り入れる

たった1分程度でも、目を閉じて体をリラックスさせるだけでも脳や体を回復させる効果がある。チャンスがあれば積極的に行う習慣をつけると良い。

眠くなる前に行う

眠くなってから寝ると睡眠慣性が働きやすくなるため、仮眠や昼寝は眠くなる前に行うのが理想。受け身ではなく攻めの姿勢で仮眠を。

仮眠・昼寝の準備

仮眠・昼寝を邪魔するものをできるだけ排除する

服装をできる範囲で楽にする(ネクタイをとったりベルトを緩めたり)、雑音を排除する(耳栓など)、光を排除する(アイマスクなど)。

タイマーをセットする

起きる時間にタイマーをセットをしておく。

「~分後に必ず起きる」と頭の中で数回唱える

頭の中で「~分後に必ず起きる」と数回唱えておくだけでも、時間通りに起きられるようになる(自己覚醒法)。自己覚醒法はやればやるほど精度が増していく。

起きる時間の30分前にカフェインを摂るのもアリ

カフェインは摂ってから30分後くらいに覚醒効果が出てくるので、起きる予定時間の30分前にコーヒーや緑茶などを飲んでおくと目覚めがよくなりやすい。

一度体全体に思い切り力を入れる

体全体にグーッ!と力を入れてから一気に弛緩させると、体に入っていた無駄な力が抜けて寝やすくなる。

 

起きた後 

交感神経を刺激してやる

眠っているときは副交感神経がメインになっているので、 起きたらまず交感神経を刺激してやる。ガムを噛む、ミントやメントール系の刺激物をとる、冷たい水で顔を洗う、熱いシャワーを浴びるなど。特に「噛む」という行為はセロトニン(自律神経を整える、ストレスに強くなるなどの働き)の分泌を促進するのでオススメ。

ストレッチも効果的

もし時間や場所があるならストレッチを行うのも効果的。血流がよくなってパフォーマンスが上がる。

注意点 

平日は長時間の仮眠はとらない

どうしても夜の睡眠時間が足りない場合は、その負債を仮眠・昼寝で返すのもアリ。ただし30分以上の睡眠は睡眠慣性が大きくなるため、その日トータルで見た活動効率は落ちる可能性がある。さらに睡眠のリズムが狂い、夜眠れなくなるリスクもある。

よって平日は15~20分程度の仮眠・昼寝を1回と、1分前後の仮眠をちょくちょくとる程度にとどめるのが無難。 

仮眠をとれば夜寝なくていいワケではない

体を最も楽な状態にして深く眠れる夜の睡眠はやっぱり重要。基本的には仮眠・昼寝は1日のパフォーマンスを高めるために使い、睡眠の総時間はできるだけ夜の睡眠でしっかりとるべき。