目の疲れを取る方法 頭痛・吐き気もしっかり解消するには

PC、スマホなどのIT機器を使うのが当たり前な現代において、目の疲れを訴える人がどんどん増えています。CrowdAskが実施したこちらのネットリサーチによると、実に9割以上の人が目の疲れを感じているということでした。目の疲れは頭痛や吐き気などを併発することもあり、程度がひどくなると深刻な鬱状態にもなります。

今回は目の疲れを取る方法についてまとめてみたいと思います。

 

眼科で診察を受け、眼鏡・コンタクトの相談

まだ眼科に行っていない方は、まずは眼科で診察を受けるべきでしょう。自分の目に病気や重大な問題がないか、ハッキリさせておきます。目に病気があるのに「ただの目の疲れだろう」と放置していると、ますます病気が悪化し、目の疲れも悪化します。

表参道内科眼科・戸張幾生名誉院長の著書「目のトラブルを解消する!正しい治療と最新知識」より引用させていただくと、目の病気の症状として例えば以下のようなものがあります。

目の異常 可能性がある病気
目に痛みやかゆみがある ・結膜炎
・角膜ヘルペス
・緑内障の発作
目の周辺が痛い ・ものもらい
・強膜炎
目がゴロゴロする ・ドライアイ
涙が出る ・鼻涙管の閉塞
・まぶたの筋肉の衰え
目が疲れる ・老眼
・白内障
目が乾く ・ドライアイ
・シェーングレン症候群
・結膜弛緩症
白目が真っ赤 ・結膜炎
・結膜下出血
黒めの周辺が赤い ・急性緑内障
・ぶどう膜炎
まぶたが腫れている ・麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
・霞粒腫(さんりゅうしゅ)
・眼瞼炎(がんけんえん)
眼球が飛び出している ・バセドウ病
・眼窩腫瘍(がんかしゅよう)
白目の充血が強く、水っぽい目やに ・ウイルス性の結膜炎など
黄色い目やに ・細菌性の結膜炎など
ドロドロの目やに ・慢性涙嚢炎(まんせいるいのうえん)など
視力が低下し、かすみやぼやけが続く ・老眼
・屈折異常
・白内障
中心部がぼやけたり暗く感じる ・黄斑部の病気
・網膜剥離
・緑内障
視野の一部が欠けて見えない ・眼底血管の病気
・網膜剥離
・網膜静脈閉塞症
・緑内障
・脳梗塞や脳腫瘍など脳の病気
視野に黒い点やゴミのようなものが見える ・飛蚊症
・網膜剥離
・網膜裂孔
視界にキラキラした光が見える ・網膜剥離
・緑内障
光がまぶしい ・白内障
・角膜の病気
物が歪んで見える ・黄斑部の病気
・網膜静脈閉塞症
・網膜剥離
・屈折異常
・中心性しょう液性
・脈絡網膜性
物が二重に見える ・脳梗塞、脳出血など脳の病気
・バセドウ病
・糖尿病
・白内障
・眼筋まひ
・角膜や水晶体の異常
片目ずつで見ると大きさが違う ・黄斑部の病気
急に見えにくくなった ・網膜動脈閉塞症
・網膜静脈閉塞症
・網膜剥離
・糖尿病網膜症
・脳の病気
・視神経炎

このように目には本当にたくさんの病気があります。病気が目の疲れの原因になっている場合もあるため、病気を治療することで目の疲れが取れることもあります。

また、眼鏡やコンタクトレンズについても、一度相談しておくといいです。眼精疲労であることを伝えれば、合った眼鏡やコンタクトレンズを処方してくれます。特にPCを長時間使う方は、PCの距離用に調節した「PC専用眼鏡」を作ると楽になることが多いです。

姿勢の歪みを改善する

普段の姿勢が歪んだまま生活していると、やがて強烈な目の疲れを引き起こすことがあります。

例えば、PC作業を長時間する人にありがちなのが「ストレートネック」です。ストレートネックとは、うつむき姿勢や猫背によって、首の後ろがピーンと引っ張られ、首の生理的なカーブが失われている状態のことです。このストレートネックになると、目の疲れ、頭痛、首痛、肩こり、吐き気などの症状が出てきます。

こういった"姿勢の歪みが原因の目の疲れ"を取るためには、姿勢を改善することが必須ですし、姿勢を改善しない限り目の疲れから解放されることは無いともいえます。「眼科・内科・脳外科に行っても治らなかったのに、整形外科でリハビリ指導を受けたら目の疲れが治った」という人がいますが、それは体と姿勢の歪みが原因だったからです。

姿勢矯正にはたくさんのポイントがありますが、今回は私が整体院で実際に受けた姿勢矯正の指導の中で、特に「目の疲れに効果があるな」と感じたもの2点をご紹介します。

・目線を少しだけ上に置くように意識する

普段の目線をまっすぐよりもちょっとだけ上に置くように意識します。すると頭が少しだけ持ち上がるため、首の後ろに余裕ができ、首が楽になります。

・骨盤をまっすぐ立てる

私は骨盤が前傾気味、つまり背中が反り過ぎていたため、お腹をへこませて骨盤をまっすぐ立てる習慣をつけるように指導されました。これで背中の反り過ぎが改善し、また座っているときの猫背も改善(骨盤をまっすぐ立てるため)したため、より首が楽になりました。腹筋が弱いうちはお腹をへこませ続けるのは大変ですが、それでもちょくちょくやるようにしていれば、やがて腹筋が鍛えられて楽になります。

実際に専門家による姿勢矯正の指導を受けたときに痛感したのは、「自分一人で姿勢の矯正を正しく行うのは難しいな」ということです。

例えば「骨盤をまっすぐ立てる」ということ。自分では立てているつもりが、実際には人によって少し前傾したり、後傾したりしています。一度専門家に骨盤が立った姿勢を作ってもらい、「これが今、骨盤がまっすぐ立っている状態だよ。覚えておいてね」と教えてもらうことで、「骨盤がまっすぐ立った状態」を正確に理解できます

目の疲れを取ることはもちろん、体全体の健康のためにも、まだ一度も姿勢矯正を受けたことが無い方は、姿勢の診察・指導をしてくれる整形外科や整体院に行き、姿勢について一度詳しく診察・指導してもらうことをお勧めします。

目に優しいPCモニターに変える

PC作業を長時間する方にとって、目に優しいPCモニターを選ぶことは重要なことです。

PCモニターは、以前はCCFL(蛍光管)を利用したものが主流だったのですが、今はLEDモニターが主流になっています。LEDモニターでは「PMW」という調光方式がよく使われますが、これはいわゆる”ちらつき”が起こるもので、目の負担が大きくなりやすいのが特徴です。しかし中には「DC」という、ちらつきが起こらない調光方式を採用しているモニターもあり、これに変えたら目の疲れが軽減されたという人が結構います。例えば、EIZOの「FlexScan EVシリーズ」などはとても有名です。

EIZO「FlexScan EVシリーズ」

他にも、ブルーライトや画面の明るさなども目の疲れに影響するといわれています。この辺のことはEIZO公式サイトのこちらのページなどが参考になると思います。 

 

20-20-20-20ルールを採用する

「20-20-20-20ルール」とは米テキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンターのEdward Mendelson医師が考案したもので、「20分おきに、20フィート(約6メートル)離れたところを見ながら、20秒間、20回まばたきしましょう」というものです。

人は通常、1分間に平均20~30回のまばたきをしています。しかし、PC・携帯・TVの画面をずっと見ていると、まばたきの回数が4分の1程度に激減してしまうのです。すると目が乾燥して傷つき、目の疲れや視覚障害を起こしてしまいます。これを防ぐのに「20-20-20-20ルール」が有効とのことです。

厳密に20分測定する必要はないので、思い出したときに画面から目を離し、ちょっと遠くを見て「パチ、パチ、パチ」と20回まばたきすればいいと思います。

目を温存する

目の疲れは蓄積します。したがって、日頃から目を使わない時間をできるだけ稼ぐようにしておくと、いざ仕事をする時などに目が疲れにくくなります。例えば、

・PC・携帯・テレビの画面を見る時間をできるだけ減らす
・電車に乗っているときは目をつぶる
・風呂で湯船につかっているときは目をつぶる
・休日は外に出て外の景色を見る

他にも「食事中噛んでいるときは目をつぶる」、「考え事をするときは目をつぶる」など、少しでも目をつぶる時間を稼ぐのも手です。また、「テレビ」「ゲーム」「SNS」をやめてしまうのも効果的です。

どこまでやるかは人それぞれですが、こうした「目の温存」は、やればやるほど効果があります。

「蒸しタオル」か「あずきのチカラ」を使う

蒸しタオルを5分ぐらい目に当てておくと、血行が良くなって目の疲れが取れます。蒸しタオルを用意するのが面倒な方は「あずきのチカラ」を使うのがお勧めです。

あずきのチカラ 

レンジでチンするだけなので、蒸しタオルを作るより簡単です。

目のコリを取るストレッチ

首や肩がこるように、目もこります。

目の周りには、ピントを合わせる働きをする「内眼筋(毛様体筋)」と、上下左右に眼球を動かす筋肉である「外眼筋」があります。

最近はパソコンやスマートフォンなど、一つの画面を長時間見続ける機会が増えています。そういう作業をしているときは視点が動きにくく、あまり目の筋肉を使いません。ビジョンフィットネスセンターの中川和宏所長は著書「パソコン・スマホの「疲れ目」「視力低下」驚異の回復法」の中で、「長時間同じ体勢のままでいると体の筋肉が疲労し、硬直してくるのと同じように、目の筋肉もどんどん硬くなり、思い通りに動かなくなる。さらに、使われない筋肉は衰えていく。現代人は慢性的に”目の運動不足”の傾向がある」と説明しています。

そんな目の運動不足には、目のストレッチやトレーニングが有効です。ここではそのうちの一部をご紹介します。

眼球と眼窩(がんか)の間のツボを押す

 

眼球とその上にある骨(眼窩)の間に両手親指を入れ、その他の指はおでこに置きます。そして骨を上に持ち上げるように、親指でツボを強く刺激していきます。

内眼筋・外眼筋をまんべんなく動かす

・イスに座り、顔を上げる。
・まぶたをギュッと閉じる(10秒間)。
・目をパッと開いて上を見る。
・まぶたをギュッと閉じる(10秒間)。
・目をパッと開いて下を見る。
・まぶたをギュッと閉じる(10秒間)。
・目をパッと開いて右を見る。
・まぶたをギュッと閉じる(10秒間)。
・目をパッと開いて左を見る。
これを、疲れたときはもちろん、朝晩1~2セットを習慣にするとよい。

内眼筋(毛様体筋)と外眼筋をほぐすストレッチ

人差し指を立て、それを上下左右に移動させて目で追う。片目をふさいで行うとやりやすい。これを1時間に1回程度行う。

もし目が思ったよりも動きにくい場合は、筋肉が硬くなったり衰えたりしている可能性がある。毎日やっているとだんだん改善してくる。

以上、目のストレッチ・トレーニングの一例でした。目が疲れているなと感じたときや、暇なときなどにちょくちょくやるようにすると良いと思います。