脂肪を落とすために知っておきたい10の生活習慣
いくら運動をしたり体を鍛えたりしても、毎日の生活習慣が悪いと脂肪は思うように落ちてくれません。
今回は、特に脂肪を落とすために有効な生活習慣について考えてみたいと思います。
1. ”低脂肪” ”カロリーオフ”などに惑わされない
「低脂肪・カロリーオフ」などの食品は、脂肪を落とすのに向いてないという説もあります。
アメリカ・バージニア大学のMark DeBoer博士は、低脂肪牛乳を飲んでいる子供より成分無調整牛乳を飲んでいる子供のほうが肥満になりにくい、という調査結果を発表しています。2歳児を対象に、低脂肪牛乳と成分無調整牛乳を飲むグループにそれぞれ分け、4歳までに肥満になる割合を調査した結果、低脂肪牛乳を飲んでいたグループは肥満になる割合が57%高かったのです。Mark DeBoer博士は「成分無調整牛乳のカロリーが満腹感を増大させ、高カロリー食品への食欲を減らしているのかもしれない」と言っています。
他にも低脂肪食品については、人口甘味料が多く含まれている場合があること(人口甘味料は満腹感を低下させる、と言われている)なども指摘されています。
少なくとも「低脂肪だからちょっとぐらい多めに飲んでも(食べても)大丈夫」と油断するのはやめたほうがいいでしょう。
2. 食事前に水を飲む
アメリカ・バージニア工科大学のBrenda Davy博士は、食事前に水を飲んでおくことで体重がより減少したという調査結果を発表しています。
48人の体重過多の男女(55~75歳)に、ローカロリーな食生活(男性は1日1,500キロカロリー、女性は1日1,200キロカロリー)をしてもらいつつ、半分の人たちには食事前に16オンス(約453グラム)の水を飲むようにしてもらいました。その3ヵ月後、水を飲んだグループは体重が平均15.5ポンド(約7キログラム)、水を飲まなかったグループは平均11ポンド(約5キログラム)減少しました。さらに調査開始から1年が経つと、水を飲んだグループはさらに平均1.5ポンド(約680グラム)減ったが、水を飲まなかったグループは逆に2ポンド(約907グラム)増えてしまった、と報告しています。
この理由は、胃が満たされて空腹感が弱まり、食べ過ぎないで済むこと、他のカロリーの高い飲み物を飲まなくて済むこと、などが考えられるとしています。というわけで、食事前に水を飲む習慣を身につけると、脂肪を落としやすくなるかもしれません。
なお、この調査で飲んだ水は淡水であって、ミネラルウォーターやビタミンウォーターではないそうです。
3. 皿を小さいものにする
「Obesity」という雑誌の中で、人の肥満度とビュッフェ(立食)のときに選ぶ皿の大きさ(大きいのと小さいの2つ用意)の関係を調べた調査結果が報告されています。それによると、肥満の人の98.6%が大きいほうの皿を使っていたそうです。
同じ量を皿に盛ったとき、大きい皿だとスカスカになってしまい、まるで量が少ないように錯覚してしまい、それで食べ過ぎてしまうのではないかということです。これは立食に限らず影響があることでしょう。
「料理は目で楽しむ」とも言います。皿を小さめにして、目で満足できる工夫もするに越したことはないでしょう。
4. 早食いをやめる
早食いの人は肥満になりやすいです。
大阪大学の調査によると、3,000人の食習慣を観察したところ、早食いの人は男性で84%の人が肥満だったといいます。女性は早食いでない人の2倍肥満の人が多かったのです。
この理由は「時間差」です。食事をして血糖値が上がると満腹中枢が刺激されて満腹感を感じるようになりますが、その満腹感を感じるまでには少し時間がかかります。早食いの人は満腹感を感じる前に食べ進めてしまい、結局満腹感を感じる頃には「食べすぎ」の状態になってしまっています。
早食いの習慣がある人は、「よく噛む」、「できるだけ人と話しながら食べる」、「一人の時はテレビや動画などを見ながらゆっくり食べる」など、なにかしら食事のペースを落とす工夫をすると少し変わります。
5. 酒を飲みすぎない
アルコールはコルチゾールというホルモンの分泌を促進することが知られています。
このコルチゾールには「筋肉の分解を促す」という性質があるため、酒を飲みすぎると筋肉量が減ってしまいます(急性アルコール筋症)。
また、アルコールは脂肪の燃焼を妨げるという研究報告もあります。「The American Journal of Clinical Nutrition」という臨床栄養学の医学雑誌の中で、「1時間にウォッカとレモネードを2杯飲んだだけで、脂質代謝が73%落ちる」という報告がされています。
さらに、アルコールには食欲を増進させる効果があります。例えばレストランなどで出てくる「食前酒」は、食欲を増進させるために飲むものです。
アルコールは肝臓でアセトアルデヒドを経て酢酸に分解され、最後は炭酸ガスと水に分解されて排出されます。その分解時にブドウ糖を消費するため、血糖値が下がることになります。血糖値が下がると空腹感を感じます。だから酒は飲みすぎると空腹感が大きくなり、その結果ついつい食べ過ぎてしまうことになります。
というわけで、酒をたくさん飲む習慣は、健康的に脂肪を落とすことを難しくするといえます。
6. 睡眠時間を7時間程度とる
アメリカ・コロンビア大学の研究によると、18,000人(32~59歳)を対象にした調査で、各睡眠時間での肥満になる確率は、平均睡眠時間が7~9時間の人と比べて以下のように高くなったとのことです。
・平均睡眠時間が4時間以下・・・73%
・平均睡眠時間が5時間・・・50%
・平均睡眠時間が6時間・・・23%
では、どうして短眠の人ほど肥満になる確率が高まったのか?イギリス・バーミンガム大学は、30~60歳までのアメリカ人男性1024人を対象に、睡眠時間と血液中のホルモンの関係を調査した結果を報告しています。それによると、睡眠時間が短い人ほど血液中のレプチン(食欲を抑えるホルモン)の濃度が低く、逆にグレリン(食欲を増進させるホルモン)の濃度は高かったそうです。つまり、睡眠時間が短くなると、つい食べ過ぎてしまうことが多くなりやすい、ということになります。
7. 寝る2時間前には食事を済ます
寝る直前に食べると胃に負担がかかるといわれています。これに関しては実は「あまり関係ない」という説もあるのですが、両方の結果を示す研究報告がそれぞれあるため、念のため寝る直前には食べないようにしておいたほうが無難でしょう。
管理栄養士の浅尾貴子さんは夕食が遅くなっても太らないためのコツの中で、夕飯が遅くなるときの対策として以下の提案をしています。
・効果的に間食をとる(3時のおやつは夕食までの過度の空腹を防ぐために理想的)
・帰宅する前にそばやうどん、おにぎりなどを先に食べておき、帰宅してからおかずや野菜料理だけを食べるようにする
・帰宅したら風呂などは後回しにして真っ先にご飯を食べる
・夕食は和食中心、脂の少ない肉や魚、たっぷりの野菜が理想
・朝昼を多めに食べて、夜は軽めにとる
8. 定期的に体組成計で測定する
ミネソタ大学の研究によると、毎日BMI(肥満度)を測る人とそうでない人を比較した場合、毎日測る人のほうがより痩せた、という結果が出たそうです。定期的に体重を測ることで効果的に痩せられる人もいるでしょう。
ただ、これはその人の性格にもよると思います。毎日の体重や体脂肪率の変化にやたら神経質になってしまい、その結果疲れてやる気が無くなってしまうぐらいなら、逆に測らないほうがいいかもしれません。
あくまでデータを客観的に評価・利用できる人や、ゲーム感覚で気楽に楽しみながらできる人なら、測ったほうが効果があるでしょう。
なお、体脂肪率などはご飯を食べる前後や運動前後、入浴前後などでかなり大きく変動するので、測定するときはできるだけ同じ時間帯に測るようにして比較する必要があります。毎日バラバラの時間に測定して比較しても意味がないので注意です。
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9. 暇つぶし食いをしない
人は退屈になると食べ過ぎる傾向がある、ということは様々な調査報告でいわれていることです。
食事はあくまで体を作り、維持するためのものであって、暇つぶしにすることではありません。暇なときについ食べたり飲んだりする癖のある方は、食事ではなく何か他のことをして暇をつぶす習慣を身につけたほうがいいでしょう。
10. テレビを見る時間を減らす
アメリカ・バーモント大学は、「肥満の成人たちがテレビを見る時間を半分に減らしたところ、エネルギー消費量が1日平均119キロカロリー増加した」という調査結果を報告しています。テレビを見る時間が減った分、体を動かす機会が増えたということでしょう。
テレビを長時間見る習慣がある人は、テレビを見る時間を減らすか、テレビを見ながら体を鍛えるようにするとかすれば、結構変わるかもしれません。
生活習慣は無理せずちょっとずつ変えていく
今までの生活習慣を変えるのは、結構大変な場合もあります。もし生活習慣を変えてみようという方は、少しずつ変えていくのがお勧めです。まずは変えたいと思う習慣を一つだけ変えてみて、本当に習慣になったと思えたら次また一つ変えてみる、というふうに、無理のない範囲で少しずつ変えていくと確実です。